劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(公式サイト)
劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』を初日に観ました。劇場版『名探偵コナン』を劇場で観るのは、第1作の『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』以来。
また、『名探偵コナン』は70巻くらいまでは原作を読み、アニメも観ていましたが、10年前くらいにドロップアウトした元ファンです。
FBIと黒の組織の対決や安室の警察学校の仲間たちがメインになった近作もアニメと劇場版は概ね履修して『黒鉄の魚影』に挑みました。劇場版の基本方針としては、ミステリーではなくアクションメインの作劇で、アクションメイン作でのパターンである巨大建造物でのバトルと破壊がスペクタクルとして描かれる映画でした。
正直に言えば、映画として観ると粗だらけでツッコミどころしか無いのですが、それが前提である『名探偵コナン』映画として観ると、非常に満足感の高いスペクタクルだったと思います。灰原哀を誘拐した黒の組織を追うため、直角の崖をスケートボードで駆け降りるコナンはツッコミ所しかないですが、ある種の様式美だと思います。
そしてやはり重要なのは登場人物の関係性を描く部分です。これが本作の魅力の9割がたであると言っても差し支えないかと思います。公開前に公式Twitterへのリプライでネタバレしてしまったコナンと灰原哀のキスです。ただ、灰原哀がメインとなる映画だと公表された時点で想像の範囲内でした。実際劇場で目にすると強烈な破壊力でした。長年皆が妄想してきたものが劇場版とは言え現実になるのは感慨深いものがあります。
一方で今回の公式へのリプライはコナンと灰原哀のキスシーンに反感を持つコナン×蘭カップリング原理主義勢だった様で、『名探偵コナン』ファンダムの恐ろしさと幼稚さを感じさせます。オールドオタクおじさんからするとカップリングで怒る、ましてや公式に文句言うって意味が分からないし、気持ちが悪いなぁと。
今回のコナンと灰原哀のキスシーンは、昔ながらな人工呼吸をキスと捉えるキスシーンであり、演出も極めて客観的にキスシーンではなく人工呼吸として演出していたのが印象的でした。灰原哀のモノローグで人工呼吸がキスである事が強調されるのと不和もわざとなのでしょう。加えて言えば、ラストに灰原哀が蘭にキスをして、「唇を返す」と言うのも含めて、コナン×蘭の公式カップリング勢への配慮にも思えました。
話が逸れましたが、『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』は子供の頃に『名探偵コナン』が好きだった人、灰原哀が好きだった人は観た方がいいんじゃないかと思いました。スピッツ書き下ろしの主題歌「美しい鰭」も物語と相まって良かったです。