本作の主人公、ナイルズは彼女の友達のタラの結婚式に訪れたが、その結婚式の晩にとあることからタイムループに巻き込まれてしまった。結果ナイルズは何度もタラの結婚式である11月9日を繰り返しやり直していた。『恋はデジャヴ』のフィルの様に。
あるループの1日に、新婦タラの姉であるサラと親密になるものの、謎の人物の襲撃を受ける。襲撃者の攻撃から逃げたナイルズを追ってきたサラは不思議な洞窟に吸い込まれ、サラもタイムループに巻き込まれてしまう。
大枠としては、『恋はデジャヴ』をなぞった展開で進行するが、『恋はデジャヴ』でタイムループの要因をフワッとさせた事でファンタジーになっていたけれど、そこをある程度突き詰める事で、SFモノとなった。『恋はデジャヴ』ファンとしては、かなり興奮する物語だ。
『恋はデジャヴ』は、主人公フィルのみがタイムループに陥るが、本作は主人公のナイルズだけではなく、新婦の姉サラもそこに巻き込まれる事で話の幅が広がった。更に第3のタイムループに巻き込まれた人物、ロイも登場して、更なる物語に広がりを見せていてこれは面白かった。
謎の襲撃者ことロイの存在は、タイムループ=終わらない日常をどう生きるかと言う『恋はデジャヴ』がモチーフとした命題に対して、『恋はデジャヴ』のフィルが避けていた事に対して明確に回答したキャラクターだと感じた。
本作の主人公ナイルズもヒロインも結論努力してタイムループの要因を解き明かし、タイムループから脱出して前に進む事を選ぶが、ロイはタイムループに陥いり同じ1日を繰り返す事で地獄だと感じていた家族の捉え方を変え、同じ1日を満喫する選択をした。
タイムループ=終わらない日常とした場合、『恋はデジャヴ』のフィルや本作のサラやナイルズの結果・選択よりも終わらない日常、つまりは人生に対して示唆的であると感じた。本来はサラやナイルズにその選択をして欲しかったと思うが、物語的には映画の結末が正解なのだろう。(そしてもう1人、タイムループに陥っている人物がいる事が示唆される。)
なお、ナイルズとサラが砂漠で目にした恐竜は、愛すると言う2人が不可能だと思っていることが可能になると言う事へのメタファーとの事。そしてあの恐竜は幻では無く本物と言う設定との事。こう言う所もキュートな映画だ。
参考:「『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督 この物語を描いてから、誰かと恋に落ちたり、心を開くことを理解できるようになったよ【Director’s Interview Vol.114】」(CINEMORE)
※村山章さんのインタビュー、流石!
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