二〇一七年四月二十六日作。
(1)耐え難きはふるさとの砂のこぼれる
(2)分け入ればしとどに濡れて
(3)黒薔薇に水をもう朝
(4)PTAにモロイの訪ねる
(5)掘削している見返り美人
(6)磯波ふと消え鼓一擲
☞「脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿で向き直り、彼の傍らに腰を下ろしてきた。『すごいわ、高射砲のように逞しい──』奈津が、屹立しているペニスを見下ろして言い、やがて優雅な仕草で添い寝してきた」(睦月影郎「永遠のエロ・P.18」二見文庫)
で、なぜ官能小説なのか。戦争とは何かという抜き差しならない問題とセットであるからだ。と言うだけなら誰にでも言えるだろう。もし余裕があれば是非カバー・イラストを見てほしい。官能系ではあるものの、芯の部分から性とは何か、という課題と常日頃から付き合っていて始めて描き得る表紙デザインだ。
戦闘機は時代ゆえ、ではない。もし時代ゆえに戦闘機の描写が「ない」とすれば、どうだろう。隅々まで隈無く見ないとただ単なる「B級ポルノ」と勘違いされそうなぎりぎりの線上にある。わかるだろうか。女性の姿をじっくり観察したいと思う。資本主義社会であるがゆえにいわゆる「サービス」として胸元がやや非常識な描かれ方へ傾斜しているのは常としても。
特に「美人」と言われる部類には入ってこない、どこにでもごろごろ転がっているような、ごく普通の女性だ。ゆえに、注目すべきは服装へ移る。ずば抜けてプロポーションが目を引くというわけではない。通勤通学の時間帯であれば毎日でも視野に入ってくるタイプでしかない。見るべきは僅か三点のみ。(1)真っ白いシャツ。(2)やや短めの黒いタイト・スカート。(3)特に何と言うこともないスタンダードな口紅。それだけ。
作家にとって官能小説の仕上げは、はなはだ難しいと言われている。が、次の文章を見てみよう。
「零戦は一人では動かず、整備兵の補助が必要なのである」(睦月影郎「永遠のエロ・P.152」二見文庫)
ここまで述べて、もし今後の日本人の人口が減少していくようであれば、もっと真剣に考えなければならない。特に今の内閣の顔ぶれは。