田舎に帰って来てから、ずっと大雨が降り続いている。
2日前の洗濯物も乾かなくて、まだ部屋の中に下がっている。
雨降りが憂鬱なのは、それだけでない。
朝、薄い夏蒲団では肌寒くて、5時過ぎに目が覚めた。
夜中の雨は止んでいた。
薄っすら白け始めた庭に出てみると、予期せぬ光景を見た。
なんときれいな朝焼け雲か!!
それは東の空から頭の上まで、薄いピンクのベールのように広がっていた。
ずっと沈みがちだったテンションが上がった。
今日は久しぶりに晴れるのだろう・・・・と喜んだが、
台風17号の影響で、四国には大雨の予報が出ている。
それでも、久しぶりの日差しが嬉しくて朝の内に、掃除も洗濯も済ませ、
雨が降ると自転車に乗れないので、晴れている内に、スーパーに買い物に出掛けた。
万が一に備え、傘は持って行くことにした。
スーパーで、ゆっくり買い物をし過ぎたようだ。店を出ると、雨が降っていた。
小降りになると信じ、店の前に止めた自転車のそばで待つことにした。
私の隣に、もう1台自転車が止められていて、私と同年代の女性が買い物袋を持って出て来られた。
「雨降って来よったなぁ~。降るのは分かっとったけんど、傘持って来んかった」と言って、話しかけて来た。
「止みますかねぇ?」と、答えて、二人で、しばらく空を見上げていたが、
「止みそうに無いけん、帰るわ!」と・・・・・・。
「今が1番、降りがひどいですよ!」と、言ったが、「家、近いけん!」と言って、大雨の中を自転車で走り出した。
雨は一向に止む気配が無い。
すると、腰の曲がった小柄なおばあさんが、ショッピングカートに買い物袋を3袋入れて店を出て来た。
ご家族が車で待っているのだろうと、思ってみていると、
すぐに、タクシーが前に来て止まった。
買い物の間、待たせていたのだろう。
運転手さんの助けを借り、タクシーに乗り込むと、雨の中を走り去った。
先ほど、雨の中を傘も差さずに自転車で走り出した人は、まだ若いが、
それが出来なくなれば、買い物もタクシーを利用するしかないのか?
今の田舎の現実の姿を見た気がした。
もし、私がこのまま田舎に住む決心をしたら、自動車に乗れない私は、この現実を覚悟しなければなら無いだろう。
田舎の自然と不便!
どちらも受け入れられるだろうか?
そんな事を考えながら、しばらく雨が小降りになるのを待っていたが、待ちきれなくなって、
私も、大雨の中を自転車で走り出した。
私は傘を持っていたので差したが、自転車に乗って傘を差すのは禁止されている。
隠れるように、細い裏道を急いで走った。