「壊れた人形」のように、トーマくんが変な歩き方をしている。歩き方が変だぞ!と言うが「ん?」と繰り返すばかりで、自覚症状がない。無言で歩く集団登校は、明日の日本の象徴だ。「ん?」ばかり?
濃霧の朝、気持ちがいい。厚着をしているので、自宅に戻る頃はうっすら汗ばむ。自宅近くで、今朝も、さあ、どれを食べよう? とシーズンを終えて、木にたくさん残った甘柿を、手で掴んで選んで取る。何せ、零度の外気に晒されているのだから、冷え込んでいるし、表面はたっぷり朝露に濡れている。
甘さが凝縮されて、まだ、しっかり硬さが残っているのを選ぶ。大きいのは、これまで何度も数個づつ取ってしまったので、今は、少し小ぶり。4個をポケットに入れて、少し柔らかめを1個、齧りながら、皮や種を田んぼに弾き飛ばして、冷たくてめちゃジューシーな甘さを味わいながら、帰宅する。
「好きなだけ、取ればいい」と管理者にお墨付きをもらっている2本の甘柿。何せ連日の朝の散歩のおやつ。金持ちが帝国ホテルに長期滞在しても、こんな贅沢は味わえないだろう(そんなことは、考えもしないだろうけど)。我田引水ながら、わたしゃ、私の「贅沢」を味わうばかり。まあ、近くで見ているカラスと同じだが。あいつも、自由に、柔らかくなったのを美味しいところだけ、つついて好き放題食べる。
しかも、人に向かって『アホウ、アホウ!」と叫ぶ。
え?! 番茶と里芋の温湿布で1週間で「白内障」を治したって?! 私の手元の秘伝書には不思議なことが書かれている。片栗粉で胃潰瘍の激痛をピタリと止めたって?!!