みゆ猫おやつ事情

 台所の真ん中にはダイニングテーブルがあって、一方の壁際には冷蔵庫、その反対側にはコンロや流しの並びとその上の戸棚がある。みゆちゃんの乾しカマは冷蔵庫、煮干は戸棚に入っている。だから、みゆちゃんは、乾しカマがほしいときには冷蔵庫に近い方のテーブルの隅に座り、煮干がほしいときにはそれとは反対の隅っこに座って、にゃあと言ったり、あるいは黙って見つめたりして、催促する。
 乾しカマばかり気に入って食べていた頃があって、冷蔵庫を開けるたびに首を突っ込んでくるから、たびたびやっているうちにとうとう乾しカマがなくなってしまった。もうないよと言っても、冷蔵庫の前でにゃあにゃあ鳴いている。新しいのを買ってくるまでのあいだ、煮干をあげようといっても、煮干にはあまり興味がわかないらしく、しかたなしに、嫌々といった体で食べている。
 待ちに待った乾しカマを買ってあげたところ、しばらくは喜んで食べていたが、やがて少々飽きてきたらしい。あるいは、こちらが気を利かせて「まぐろ味」を選んできたのが、あまり口に合わなかったのかもしれない。今度は、戸棚の前にばかり座るようになった。
 乾しカマに偏り、煮干に偏りしたあとは、また徐々に食べ方が均等になっていって、近ごろはだいたいどちらも同じくらいの割合で食べるようである。
 みゆちゃんのおやつはもうひとつあって、それは、普段主食として食べている安価なドライフードよりも少し値段の高い小袋に入ったカリカリで、私の机の引き出しにしまってある。引き出しを開けると飛んでくるが、自分から催促するということはない。
 それから、最近、缶詰のツナの味も覚えたようである。茹でた青梗菜とツナを和えてテーブルに置いたまま、油断してほかの作業に取り掛かっていたところ、背後に気配を感じてふりむいたら、テーブルの上に乗ったみゆちゃんが、ちょうど和え物のツナに鼻をつけようとしたところであるようだった。こらこらと器を取り上げて、それはそのまま晩のお膳に並んだが、よくよくあとから考えてみると、そのあとみゆちゃんはさも満足げに顔を洗っていたから、あれは鼻をつけようとしたところではなくて、もうツナをひと舐めふた舐めしたあとだったのかもしれない。


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