秋の夜長におすすめかもしれない本

 内田百が好きで好きで、しょっちゅう読んでいるのですが、いくら好きだからと言っても、百ばっかり読んでいたのでは偏りが生じてよろしくないだろうと思い、百、HARRY POTTER、百、谷崎潤一郎、などというように交互に読んでいます。

 内田百については前に何度か書いているのでおいておいて、現代作家の作品の中で、何年か前に読んだオードリー・ニッフェネガーの「The Time Traveler's Wife」(邦題:きみがぼくを見つけた日)をおすすめします。日経新聞の書評に出ていたので買ってみました。
 タイムトラベルなんかが出てくるので、SFなのかと思ったら、SFはSFに違いないのでしょうけど、真摯な愛の物語です。タイムトラベルを扱ったほかの小説(と言っても、知っているのは子供の頃に読んだSF本くらいですけど)のように、過去や未来へいける楽しさとか、わくわくした気持ちは、ここには微塵もありません。この本に出てくるタイムトラベラーは、自分の自由な意思でタイムトラベルをするわけではないのです。突然、前触れもなく、どこだかわからない時代へたった一人飛ばされる。そこにあるのは、苦悩とか、不安とか、そういうネガティブな要素ばかりです。そのタイムトラベラーの男性と普通の女性の愛の物語です。
 彼らのもどかしさとか、悲しさが胸に迫るようで、とくに印象的な最後の場面では、じわっと来てしまいました(もっとも、普段恋愛小説をほとんど読まないので免疫がないためかもしれませんが、amazonの解説によると、全米も感動したそうです)。
 また、主人公が飛ばされていった先の時代で起こるちぎれちぎれのエピソードがつらなって、謎解きの面白さもあります。
 秋の夜長に、もしかしたらぴったり、かもしれません。

 最近読んだ本では、寒川猫持著「猫とみれんと―猫持秀歌集」は面白かったです。猫持さんは、猫を愛する歌人兼目医者さん。猫の歌のほかにも、思わず、そうそう、と言いたくなるような日常の細かいところを詠んだ歌とか、中年のオジサンの悲哀を自虐的に歌ったものとか、くすっと笑ってしまいます。でも、面白いだけではなくて、どことなくほろっとくるところがある。そんなところが、秋の虫の鳴く寂しげな夜に似合うかもしれません。
 ちなみに、私の好きな歌は、
「もみじ饅頭一個くわえて走ってるあの縞縞がうちの猫です」
であります。

 絵本では、猫好きの友達が私の誕生日に贈ってくれた「ねこのジンジャー」(シャーロット・ヴォーグ作)が大好きです。
 さっと描いたようなコミカルな線画なのですが、猫の表情とか動きがすごくいきいきとしています。そして、猫を飼った人ならきっと笑わずにはいられないような、猫の猫的な行動が楽しく描かれていて、本当に、猫好きにはたまりません。
 私も、その友達とカフェでお茶を飲んでいたときにその絵本を渡されて、その場で読んだのですが、ついつい笑ってしまって、押さえているつもりが、笑い声が吹き抜けの天井に響いて困りました。


 そして最後に、秋の夜の読書でお疲れになったら、ぜひ、私、岡田千夏がイラストを担当いたしました、三橋美穂著「ねこに教わる 快眠レッスン60」でリラックスしてお休みください(ちょっと宣伝…)。


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【猫マンガ】ミオコンボの誘惑








その後、あんまり美味しくてしょっちゅうおねだりしたために、
ちゃめの体重が少し増えてしまったので、いまはカリカリおやつはやめにしているそうです。

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