お昼に、時間調整のため、ドトールに入って、
一生懸命、セリフを覚えていたら、
突然、隣の席のおばあさんに話しかけられた。
「あら、小さい字を読んでらっしゃるんですねぇ」
「あ、いえ、それほどでも」
というのは謙遜でも何でもなく、
いつもの私仕様の、拡大コピーした台本だったから。
でも、そんなことはお構いなしに、
おばあさんは話を続けた。
「私ね、もうすぐ90なんですよ~。
でも、この位の字なら読むんですけどね」
と見せたのは、
菓子パンの袋に印刷されている成分表。
めっちゃ小さいやん!
はは~、わかった。
私の方が小さい字を読めるんだ、って言いたいのね。
ここで「すごいですね」なんて言った日にゃ、
延々とつかまりそうだ。
悪いけど、そこまでの義理も時間もない。
「はぁ」
という中途半端な返事と、中途半端な笑顔を見せて、
私はさっと自分の台本に目を落とした。
集中しているような振りで、様子をうかがうと、
おばあさんは、
しばらく所在なさげにしていたものの、
そこからゴソゴソと、
ひとつ隣のテーブルに移った。
その隣には、やはり1人の女性客。
またきっと、何かきっかけを見つけて、
話し始めるんだろうな~。
話し相手を探してるのかな。
一人暮らしなのかな。
・・・さびしいんだろうな~。
そう思うと、なんとなく心が痛んだけど、
でも、ごめんなさい。
私は、そこまで優しくなれない。
今は自治体が、いろんな教室を無料で開いてるし、
いろんなサークルもある。
毎回、ドトールで話相手を探すより、
ずっと効率がいいと思うけど。
それに、そうすれば、こうやって、
いつまでも、くどくどと罪悪感を残す人間も、
作らなくて済むんだから
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