さかざきが綴る「アンティークな日々」

アンティークディーラーさかざきがアンティークのこと、日常のことを綴っています。

今までで一番ドッキリした話

2020-01-03 | 

 皆様、お正月はいかがお過ごしでしょうか?私は年末名古屋の家に戻り、今日までゆっくり過ごす予定。明日午前中に銀座へ戻って参ります。「初売り」は明日から三日間開催ですよ。シャンパンを用意してお待ちしております。是非お立ち寄り下さい。 

■「初売り」
1月5日(日)~7日(火)
(7日火曜日も通常営業です。)
1:00PM~6:00PM
※お正月タイムの営業となりますのでご注意下さい。
エンジェルコレクション
東京都中央区銀座1-9-8奥野ビル208号
tel 03-6228-6230
詳しくはこちら***

 という訳で、まだ公開していなかった買付け小話を。前回の買付けは、パリ、ロンドン、そしてホリディのリスボンを巡る旅だったのですが、事件はパリでの買付け最終日に起こりました。その日は終日パリのオークションに参加し、夕刻、ロンドンへユーロスターで向かう予定だったのですが…。 

 オーションには午前中から参加し、お昼休憩を挟み、午後もずっと続く予定でした。その日のオークションは何百点も出品される大がかりなものですから、自分の目的のブツが登場するまで、緊張感でいっぱい。ぼーっとしていて、見落としてしまわないように、そして、他人と競って競り落とすのですから、非常に集中力が必要です。運良く競り落とせると、外国人の私達は身分証明としてパポートを提出させられるので、まず午前の部が済んだ時点で、キャッシャーのマダムのところへ行って、お支払いを済ませ、パスポートを取り返し、支払い証明を持って、バックヤードで落としたアイテムを受け取ります。そしてランチを挟み、再び会場へ戻り午後の部開始! 

 その午後は、午後6時15分のユーロスターでロンドンへ移動するため、欲しいものいくつかを無事手に入れ、ほっとしてお支払いを済ませ、ブツを受け取り、オークションが続いている会場を早々と後にし、ホテルへ荷物をピックアップに戻り、タクシーでユーロスターの発着する北駅へ。オークションの緊張感から解放され他私達はタクシーのシートに身を委ね、「欲しいものも手に入ったし、本当に良かったね~♪」と河村と言い合いながら、それぞれ大型のスーツケースを2個ずつ持ち、北駅へ。

 いつものように北駅へ着くと、チェックイン時間までまだまだ余裕があったものの(ユーロスターは発車30分前のチェックインが決められています。)、そのままさっさとチェックイン。改札を抜け、イミグレーション(ユーロスターは国際列車のため、フランス側でフランス、イギリス両国のイミグレーションを通過しなければなりません。)の前でそのことに気付きました!「ぎゃ~!!パスポート!!」バッグの中のいつものポケットにパスポートが無いのです。何度見ても無いのです。そこで、オークション会場でパスポートを渡したまま、キャッシャーのマダムに返して貰っていないことにやっと気付きました。アンティークディーラーを初めて24年、この時ほどドッキリしたことはありません!すぐに改札から出して貰い、ボー然とする河村とスーツケース4個をその場に残し、私は北駅の前からタクシーに乗って再びオークション会場へ!(河村は河村で、翌日は早朝からイギリスの田舎のフェア、その翌日はロンドンで重要な買付け、さらにその夕方にはリスボンへ向かうというタイトなスケジュールなのに、変更の出来ないユーロスターのチケットで、この先いったいどうなるのか、自分はどうなってしまうのか、とそれは心細かったのだそう。)

 北駅の前から再びタクシーに飛び乗り、オークション会場へと向かったのですが、ドライバーは私の告げる場所が分からず、仕方なく近くのパサージュの前で下車。夕方遅い時刻になり、「果たしてまだオークションはまだやっているのか、既に会場がクローズしていたら、裏口から入るしかないかも…。」との考えが頭の中をぐるぐる巡りながら、パッサージュの中を息を切らしながら駆け抜け、会場へ。運良く、まだ会場はオープンしていて、レセプションのマダムに息を切らしながら「マダム○○は?」と尋ねると、意外そうな顔をして、「まだオークションやってるわよ。」とひと言。大急ぎでお礼だけ言い、会場へと駆け上がり、扉を開けると…オークションは継続中。その中をバタバタとオークショナーの隣のキャッシャーのマダムの所へ走って行き、ひと言「私のパスポート!!」と凄むと、マダムは「オーララ、エクスキューゼモア~」などと言いながら(フランス人が謝るなんて珍しいこと!)、私のパスポートを見つけ出し、無事受け取り完了。(これだからフランス人って!いやいや、オークションが終わって気が抜けた私が一番悪かったのですが…。) 

 再び会場から外に出た私はタクシーを拾うべく、道ばたでタクシーを探していたのですが、折からの土砂降りで、タクシーは皆無。しばらく待ってみたものの、「これは無理!」と、雨の中付近を歩くと運良くメトロの駅が!路線図をチェックすると、乗り換えはあるものの、比較的北駅から近い位置。迷わずメトロに乗り、そのまま北駅に戻ってきました。予定のユーロスターのチェックイン時刻よりもまだ前。「これなら予定のユーロスターに乗れる!!」とひと安心し、問題なくスーツケース4個を持った河村とも再会出来たのですが、話にはまだまだ続きが…。

 ユーロスターの改札前はなぜか沢山の人でごった返し、改札業務はストップ中。河村に「いったい何があったの!?」と尋ねると、「なんでも不審物が見つかったらしいよ。」と不穏な返事。「不審物~!?」いったい今日のユーロスターの便はどうなってしまうのか。今日中にロンドンに向かうことが出来るのか? 

 そしてしばらくすると警察の爆破処理班が警察犬と共に登場。爆破処理班は、爆破処理のための超頑丈そうなスーツケース状のボックスをガラガラしながら改札の向こうへ。それからしばらくした後「ボンッ!!」と何やら爆発音が。(多分誰かが駅構内に忘れていった荷物だったと思うのですが、フランスでは不審物って爆破させちゃうんですね~。)

 で、これでおしまいと思ったら、ここからが本番でした。私達が乗るはずだったユーロスターはキャンセルになり、その便に乗るはずだった乗客は、すべてそれ以降の便に振り分けられ、その作業はすべて係員のお姉さんの手作業で!(そういう作業にまったく向いていないフランス人達のこと、どれだけの時間がかかったことか!)チェックインの手作業でごった返す改札を越え、ユーロスターに乗り込み、結局、ロンドンに着いたのは予定の2時間後。翌日は地方へ行くため、朝5時起きだというのに、午後11時近くにホテルに到着。元々は自分がパスポートを取り返さなかったのが悪かったとはいえ、「フランスあるある」の出来事でした。次回の買付けはひとりで行く予定なので、「こうしたトラブルは頼むから勘弁!」と思っています。

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