最近では、行先不明の、いわゆる「ミステリー列車」の運転はまだあるのだろうか。昔は一時期、流行のようにあちらこちらに運転されていたことがあったが、世の中、団体で連れ立って旅行することからそっぽを向かれ、個人主義に変わってしまったから、この手の列車もきっと激減したことだろう。もっとも、波動用の車両も限られている昨今、運転があったとしても、おのずと想像がついてしまうのが現代の寂しさか。昔は違った。その列車がどこを何時に通ることから始まり、いざ列車が目の前に現れてから、全貌がわかることが多かったように思う。事前情報など何もないから当然だが、今にして思えば、そういった心の動きは、昔の方が大きく、良い時も、そして悪い時にだって懐かしく感じられる。
掲載画像は、詳細など解からずに線路端に立ち、いつ来るかわからない列車を待って撮影したミステリー列車「ミステリー999号」。遠方からライトが2灯見えた時、ゴハチけん引でなかったことに落胆した思い出が蘇る。しかしこういった臨時列車にヘッドマーク付きは見初めで、かつEF65の側面にも、銀色で装飾されていたのには驚嘆した。現代でいう「JR]マークほどの控えめなものだが、今流行のラッピングではなく、切り文字のシールを車体に貼っているようで、いかにも国鉄っぽく思えてしまう。
盛夏間もない、梅雨を思わせる朝の思い出だ。
1979-07-22 8101ㇾ EF651007 12系9両「ミステリー999号」 東北本線:北浦和付近