EF57と同じように、初めて思い入れを以って撮影に出ていた電機はED16だった。
アントンKが鉄道撮影を始めた頃から、その存在に気がつき、比較的アクセスがしやすい線区だったことも手伝って、四季折々の表情を撮影してきた。とは言っても、今振り返ると満足できる画像は限られてしまい、当時の想いが伝わってこない印象で何とも歯痒い気持ちだ。過去にもここで掲載したように、1983年のさよなら運転までの約8年に渡って撮影出来たことが、唯一の救いかもしれない。それぞれに思い出があり、仲間内と重連運転の撮影に何度も行った時のことや、2月の梅、4月の桜と、沿線に咲き乱れる四季の色どりを絡めての撮影は今思い出しても楽しかった。
そんなED16の撮影記の中でも忘れられない日がある。臨貨の運転がある日、深夜の奥多摩はED16で賑わっていたのだ。終電もとうに終わり、消灯して静まり返った奥多摩構内だったが、数人のファンが熱い想いでカメラを向けた光景が掲載写真。夜中の青梅街道をひたすら西へと向かい、ファミレスで時間調整をしながら奥多摩を目指す。季節は秋真っ只中だったが、深夜とあってかなり寒かった記憶が残っている。普段はパンタを下ろし、明日の仕業に備えて静かに休んでいるED16も、この時ばかりは、お互い談笑を楽しんでいるかのようで、いつもとは違うED16の魅力が発見できた。時たま唸るコンプレッサーに生きる鼓動を感じ、暗闇に消えていく臨貨を最後まで見送った。
1982-11 ED1613 - 18 - 8 - 10 青梅線:奥多摩駅にて