昔、「電気機関車 快走」という鉄道撮影のバイブル本があった。月刊誌「鉄道ファン」の増刊で発売されたと思うが、ちょうど、アントンKが鉄道撮影を本格的に始めた時期と合致する。カラー見開きページに始まり、綺麗なモノクロ写真が続き、ページごとにワクワクが止まらなかった。そして本の後ろには、全国主要路線のダイヤグラムが付いていたのだった。これ一冊で、撮影が全て整い楽しめてしまうような、そんな印象の本だったことを思い出す。それこそ、毎日のようにページをめくり、ボロボロになるまで読み漁った遠い日がとても懐かしい。当時は、この手の本がちょくちょく発売され、とても刺激を受けたものだが、情報が蔓延している現代では、隔世の感を持ってしまうのは、致し方ないところ。今の世の中、どこかそんな気持ちを忘れつつあり、昔を思うととても詰まらない時代に思えて仕方がないのだ。
掲載写真は、その「電気機関車 快走」の表紙を飾った湯河原の大カーブで後年撮影した「はやぶさ」を掲載しておく。アントンKが初めてここを訪問したのが1978年だが、それよりさらに約20年後に撮影した時の物。付近の宅地化は顕著で、かなり撮影も制限され昔のようにはいかなかった思いが過る。そしてさらに25年以上時間が経った現在では、さらに変化しているはず。2条のレールだけは、当時のまま大きく弧を描いて我々の前にかつての名ポイントを主張していることだろう。
1996-09-11 6ㇾ EF66 41 はやぶさ JR東日本/東海道本線:湯河原付近