前記事でそれぞれに意味のある鉄道車両の塗色のことを書いてみたが、そもそも国鉄時代には、特有の頑固なまでの規律が存在していて、そこから少しでも外れると貴重とか、珍しい部類の列車として、当時はファンの間で話題になっていたことを思い出している。旅客用として誕生した電気機関車が、貨物列車を牽いたり、その逆に貨物機が突然客車列車に充当されたりする現象だ。もちろん国鉄時代には固くなにまで、そのルールが守られてきたはずだが、いつの時代も予期せぬ出来事は付き物であり、例外として記憶に残る列車たちは、多々思い浮かぶのである。鉄道写真を記録写真と位置づけたなら、詳細なデータとともに残っているそんな画像は、マニアにはたまらない写真となるだろう。
しかし以前にも記述したように、以降何でもアリの時代を迎えてしまうと、そんな珍しいシーンを目にしても不思議と感動は薄れていった。人間何て案外いい加減な生き物なのかもしれない。
掲載写真は、これを撮影していた時代は、とても違和感を感じながらシャッターを切っていた、EF65P型が牽く石油列車。つい数年前まで、東京区にいて、ヘッドマークを掲げブルートレインを牽いてきた電気機関車が、今では日の当たらない地味な貨物を黙々と牽いている姿に、人生のはかなさを知った。ちょうどこの時期、EF65P型が退いた東海道ブルトレは、特急貨物用として生まれたEF66型が誇らしくけん引しているのだから、なお更切なくなったものだった。これはそんな事を思いながら、朝の重連貨物列車を全機撮影して、裏腹な心を晴らそうと無機になって撮影していた時のもの。撮影するには余りにも悪天候で、バケペンにはカラーポジが入っているから、強引にブラして撮影している。
1987-08-28 5780ㇾ EF65527+531 JR東日本/高崎線:新町-神保原にて