アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

日章旗への憧れ(E655系御召列車)

2016-09-18 10:00:00 | 鉄道写真(EC)

羽越線に御召列車が走るとのことで、それをメインに多々織り交ぜて東北を廻ってきた。

今回のメインである御召列車は、当然のことながらE655系を使った電車の御召列車。もし第一号編成が現役で今回も使用されるとなったら、気持ちの上でもさらに高ぶってしまったろうと思う。確かに機関車の牽く第一号編成は、写真歴40年のアントンKをもってしても別格な被写体。そんな思いの鉄道ファンは多いのではないだろうか。しかしこの第一号編成の御召列車があった頃、現在と同じ電車の御召列車もあった。157系や185系を使ったものだ。157系が好きだったアントンKは、クモハ157の愛称板のないお顔が撮影したくて好んで撮っていたが、いくら御召でも、日章旗の掲揚はとうとうされなかった。以来、金色に輝く菊の御紋に日章旗掲揚は、その当時から強い憧れへと変わっていったが、今回の御召列車運転時には、そういった御召仕様の装飾はされると聞いたから、やはり撮影したくなるのは当然の成り行き。迷うことなく山形へと足を進めた。

ただ、今回の運転区間と時間、そして最近の不安定な天候を考慮すると、なかなか思ったような条件で撮影は不可能となり、最初からある程度の割り切りが必要と判断して現地に入った。確かに、事実相変わらずの空模様には一喜一憂させられながらの撮影となった。

掲載したのは、夕方鶴岡までの下り御召列車。空一面に広がった雲も、日が傾くとともに切れ目が出てきて、水平線に近づく頃には、赤い夕陽が差し込む時間が出てきた。こうなると、一度やって見たかったデコピカ逆光流しをチャレンジ。列車通過時に上手く太陽が顔を出さないと単なる先頭車流し撮りに終わってしまうが、通過直前で思い通りに日が差しだし、これはっ!と先頭車の上部が反射するポイントを確かめレリースしてみた。夕日のお力で、あたりの稲穂が金色に輝きだし、そこへ普段は中々綺麗に撮影できないE655系の茶色が見事にファインダーに飛び込んできた。

金色と茶色。この一コマで「秋の御召」を表現できたと思っている。

2016-09-11    御召9001M E655系        JR東日本/羽越本線

 


ローピン81 最後の秋を行く④

2016-09-17 10:00:00 | 鉄道写真(EL)

ローピン81の最後は、回送で上野に戻るシーンを一応掲載しておこう。

近頃の鉄チャンの中には、一つの列車を車で追いかけ、何回撮ったとか言って撮影回数を競い、回数が多い方が偉いような解釈をされる方々をお見受けする。撮影回数で写真の価値観や満足感を得られる方々はそれでいいと思うが、アントンKはそれではとても満足できないし、経験上回数を撮影出来ても、それなりの写真しか撮れなかった。これは年齢からくるものも含めた体験や経験によるものだと思うが、ある程度カメラを向ける撮影地を熟慮して、どう撮りたいかと自分に問う時間は少なくとも欲しいと思っている。

今回掲載する馬牛沼も近年随分と有名な撮影地になってしまった。岩手からの帰り道、宮城県で一度撮影しようと考え、東北道を下車、国道を南下する。南へ行くほど雲が広がる予報だったこともあるが、確かに岩手より雲が厚く不安定な空模様に感じられた。先日、知人に俯瞰場所をご教示頂いたこともあり、自然とハンドルを右へ切り馬牛沼ポイントへ。それにしても、撮影者の多さは想像以上で、定番と言えるポイントは三脚の林が出来上がっていた。ザッと200人くらいだろうか。その人数に圧倒されるが、至って雰囲気は和やかであり、当初俯瞰を考えていたアントンKも、結局この群衆の一番線路寄りに構えることにした。しかし、パーイチ牽引のカシオペアとは言え、どうしてこんなにファンが集まるのかが甚だ疑問。営業していない回送列車で、しかもヘッドマークは付かないのだ。お前さんも同じだろうと言われたらそれまでだが、今回じっくりカシオペアを撮ってみて思ったのは、やはりE26系にはEF510のシルバー専用機(509/510)がベストマッチではないかということ。これらの機関車はすでに貨物会社に転属してしまい、結果論とはなるが、パーイチはやはり国鉄型電機。客車は24系や14系牽引が綺麗に治まっていると思えるのだ。

ここ越河は、白石から上り坂が何キロも続く難所。ED71やED75の重連もこの勾配にあえぎ、現在の金太郎ことEH500でさえ、かなりの唸り声を上げながら上ってくる。SLのような煙こそないものの、電機特有のモーター音、それもかなり大胆なうめき音が味わえるポイントで、昔からアントンKもお気に入りポイントの一つだが、この日のパーイチも凄かった。回送とはいえ、E26系フル編成はかなり重いのだろう。モーター音全開で姿を現した時には、久々に興奮してしまった。

2016-09   回9010レ    EF8181  E26系       JR東日本/東北本線:


ローピン81 最後の秋を行く③

2016-09-14 10:00:00 | 鉄道写真(EL)

さて下り営業列車のラストポイントは、曇天の場合はこの地と決めて動いていた撮影地。今回の「カシオペア」は、盛岡行きということもあり、この北上川を渡る鉄橋で是非とも迎え撃ちたかった。まだ「ゆうづる」が現役だった頃、この盛岡を拠点としてよく撮影に行った思い出があり、この地まで来ると自然と国鉄時代にフィードバックしてしまう。今回は盛岡までだが、北側の好摩~奥中山~小繋~小鳥谷あたりまで撮影に行けたら、なおさら当時が甦ってしまうだろう。そんな機会が今後あることを期待しながら、列車を見送った。

デビュー以来何どもカシオペアは撮影してきたが、その色々なシーンを今思い出してみても、カシオペアからは、旅の旅情とか、故郷を想う郷愁とかいった感情は抱けなかった。ブルトレとの決定的な違いは、車輛の外観はともかく、そういった人の感情まで動かすような五感を刺激するような何かが足りないということ。偏見だろうが、親近感が不足しているのだ。本来夜行列車は、もっと身近で気軽な乗り物だったはず。乗っても撮影しても、それが通ってきたものだ。その思いを今後どこへぶつければいいんだろう。

2016-09      9011レ  EF8181 カシオペア紀行盛岡   JR東日本/東北本線にて


朝比奈の「エロイカ」

2016-09-11 10:00:00 | 音楽/芸術

大阪フィルが東京公演を開催しなくなってから、かなり時間が経ってしまった。朝比奈隆存命の時代は、主に毎年7月に東京公演があり、楽しみに待っていたもの。ベートーヴェンやブラームス、マーラーやブルックナーと数多くの作品に接し、感動や驚きを感じてきた。晩年になると、朝比奈のレパートリーもベートーヴェンとブルックナーに集約されていったが、今思えば、この毎夏の公演が、アントンKにとってのコンサートの試金石になっていたと感じている。海外からの来日オーケストラを含め、中々心に残る演奏会は数少ない中、朝比奈の演奏会は、良い事もそして悪い事も数多くの思い出が今も自分に息づいている。

最近の演奏会のプログラムもかなり昔から様変わりしてきたように思うが、特にベートーヴェンの交響曲は以前に比べると減ってしまった。もちろん暮れの第9は除かなくてはいけないが、第3の「エロイカ」など中々演奏されない。それこそ朝比奈時時代には、来日オーケストラを含めても、ベートーヴェンに接する機会も多かった。

この第3交響曲「英雄」は、初期の交響曲でも演奏時間が長く、それまでの第1や第2に比べると格段に複雑な構成になっているからか、アントンKには、初めやたらと取っつきにくかった。まだベートーヴェンを聴き始めの頃、名前の付いた楽曲から聴き始めるのは、アントンKも同じで、第5や第6、そして第9と進み、第3で少しつまずく。そんなイメージだった。第5や第6は聴きやすかったことに比べて第3は良く分からなかった。しかし第1から第9までおよそ全ての楽曲を聴き終えた頃、第3の存在の大きさに気づき、今ではベートーヴェンの中ではベスト3に入るかもしれない。譜面を見てもわかるように、第3の時代には、トロンボーンやチューバは載ってはいない。金管楽器は、あくまでも増音楽器としてのみ扱われていた時代だからか、ホルン、トランペットのみで構成されている。オーケストラが小編成だと感動の幅も小さいと思っていた当時のアントンKを目覚めさせてくれたのは、朝比奈の「エロイカ」だった。本物に触れると、オケの構成云々といった小さな事など吹き飛んでしまい、楽曲の内面から湧き出てくる精神性の高さにまず心打たれてしまう。もちろん今では録音でしか聴くことはできないが、数多く出回っている朝比奈隆の「エロイカ」。未聴の方は一度お勧めしておきたい。どれも甲乙つけがたい名演だが、今アントンKがあえて上げるなら、90年代に新日本フィルを振った録音を記しておく。大阪フィルではないが、この新日本フィルのシェフとなった朝比奈の全集は素晴らしい。反復を全て履行した演奏で、重厚で巨大なベートーヴェンが姿を現わしている。

2016-09 記

 


ローピン81 最後の秋を行く②

2016-09-10 10:00:00 | 鉄道写真(EL)

遠征翌日は、朝目覚めると霧雨が降っていた。地平線に目をやると日の出を迎え太陽の位置もわかるほど明るいものの、目の前の線路端は暗く重そうな雲が垂れこめている。昨日からの疲れがドッと出る瞬間。しかしよく考えれば、これも想定内だったはず。気を取り直して撮影地に向かった。

こんなどんより雲を見ていると、シベリウスの第4が脳裏を駆け巡ってしまうが、ここは「みちのく」岩手の地。シベリウスはないだろう。せめて千昌夫か新沼謙治か・・・ ウ~ン、出てこない・・

アントンKの東北線のイメージ。山深く上下線がセパレートしている区間が多いこと。意外に思うが勾配区間が多いのも東北線の特徴だろう。そして東北線と言えば機関車はEF81ではなくどうしてもED75となってしまう。これはアントンKの年齢からくる印象だろうが、記憶をたどれば、EF81の特急列車もこの地で撮影していたことを思い出した。上野と青森を結んでいた特急「はくつる」が、583系から24系寝台に返り咲いて、EF81牽引だったのだ。この頃から、何でも有りの時代背景に変わりつつあったが、当時EF81の「はくつる」は新鮮に感じたものだった。今回その「はくつる」をイメージするのには、ちょっと無理があるものの、夜行寝台列車という共通点だけで、どこか心の中で昔撮影した列車のことを考えていたことは間違いない。

雨こそ上がったが厳しい露出の中、パーイチの二条のライトが左奥からファインダーに飛び込んできた。E26系が弓なりになったところでシャッターを切ったが、真下を通過して行ったパーイチも昨日とは違い非常に厳しい表情に思える。同じ機関車なのに、こうも表情が違って写るとは・・・

写真撮影は思っていた以上に奥が深いのだ。

2016-09    9011レ   EF8181 カシオペア紀行盛岡   JR東日本/東北本線