ここで暮らすようになってしばらくしたころ 家の前の並木にカツラの木を植えると言う事で 区の職員さんが承諾を得るために来られることがあった
並木は 歩道と車道の間なので 枝が伸びても我が家まで届くことは無いし そんなことで住民の承諾が必要なのかと思ったのでしたが あとで カツラの木は虫が付きやすいことを知り 苦情を予想してのことだったのかなと思ったり
その後 何年か とくに被害を受けることもなく 落葉樹であることから紅葉を楽しむこともあったか なかったかくらいの記憶
やがて 虫の害で枯れたのか それとも寿命だったのか いつの間にかカツラの木は姿を消した
それから数年後
あれは 何の集まりだったか覚えてないけど 友人宅でお茶しながら そのグループの中で生き字引と言われる (╹-╹)Sさんから語られた枯れ葉の話である
枯れた葉の話だったから ちょうど今頃の季節だったに違いなく 数日後に ご主人と山に昇ると言う事で とくに楽しみなのが カツラの木の下に散る 落ち葉を踏みながら歩くこと・・・ と
私を含めて その場にいた5~6人の誰もが知らなかったことで さらに深く聞くところによると カツラの枯れ葉は甘い香りを放つのだと言う
その後に カツラの木をググってみると 確かに カツラの木は香りを放つ とあったのだった
私も カツラの木の香りを嗅いでみたい
そう思って脳裏に浮かんだのは 家の前に植え込まれたカツラの木だったけれど 時すでに遅く 山歩きで 必ずしもカツラの木に出会える保証はない
巨木ゆえ鉢植えで売られているようなこともないしで いつか カツラの落ち葉に出会える夢を抱いていたのかどうか
姿を消したカツラの木のあとは それぞれが自宅前に残された土の部分を私物化して
お隣さんが植えたアジサイには ワンちゃんへ ❝オシッコをしないでください❞ (*´▽`*))
そして
我が家から駅へ行く途中に 百獣の王マンションの建設が始まり 完成まじかになって建物の周囲に植えられた緑の1本1本には それぞれに名札が付いていた
夫の出勤に伴い ワンの散歩でマンションの通りを抜けながら 何気に目をやる名札に [カツラ] とあるのを見つけたのは 今年の まだ肌寒い冬から春へ向かう頃のことだったと思う
そこですぐに (╹-╹)Sさんの話が思い出されたのは やはり私もカツラの枯れ葉から放たれるらしい香りを嗅いでみたいという思いが 脳の片隅に 残っていたからなのか
言うまでもなく それから散歩のたび 名札に記された[カツラ] の文字を目にしては愛おしく 芽吹きから 花芽 青葉へと
そして今 落ち葉の季節
やっと 逢えたね
花泥棒に罪は無いって言うから 散歩のたびに手を伸ばして 一日一枚
再会したような 懐かしいような メイプルシロップのように甘い香りを嗅いでいます