芹(せり)はいわずと知れた「春の七草」の一つである。 春の七草とは、正月七日に粥に炊いて食べ、一年中の邪気をはらうという七種類の若菜のことである。
七種粥の歴史は古く、「若菜の節」或いは「七草の節句」と呼ばれる年中行事で五節句の一つである。五節句とは、正月七日の人日、三月三日の上巳、五月五日の端午、七月七日の七夕、九月九日の重陽をいう。
春の七草は次の歌を暗唱すると憶えやすい。「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・これぞななくさ」これを五・七・五・七・七の調子で四、五回も口ずさめば間違いなく憶えることができよう。
因みに、七草の植物学的な分類は以下のとおりである。7種のうちの3種がアブラナ科(キャベツや白菜の類)、2種がキク科(春菊やレタスの類)、セリ科(セロリ・パセリの類)、ナデシコ科(カーネーションやカスミソウの類)それぞれ1種である。
せり(芹)・・・・・・・・・・・・・しろねぐさ(白根草・・・・・・・・・・・・セリ科。
なずな(薺)・・・・・・・・・・・ぺんぺん草・・・・・・・・・・・・アブラナ科。
ごぎょう(御形)・・・・・・・・・ははこぐさ(母子草)・・・・・・・・・キク科。
はこべら(繁縷)・・・・・・・・こはこべ(小繁縷)・・・・・・・ナデシコ科。
ほとけのざ(仏の座)・・・こおにたびらこ(小鬼田平子)・・・・キク科。
すずな(菘)・・・・・・・・・・かぶ(蕪)・・・・・・・・・・・・・・・アブラナ科。
すずしろ(蘿蔔)・・・・・・・だいこん(大根)・・・・・・・・・・アブラナ科。
≪注≫「仏の座」は、シソ科のホトケノザとは別のもので「ホトケノザ」という名は、ロゼット葉の姿からつけられたものと思われる。すずな、すずしろに関しては異論もあり、辺見 金三郎は‘食べられる野草(保育社)’の中で‘すずな’はノビル、‘すずしろ’はヨメナとしている。
早春の田圃の畦や水辺で芹を摘むことは昔の人も好んだらしい。芹特有の香気が春の訪れを一層強く感じさせるようである。芹の中でも特に珍重されるのが所謂、寒芹である。寒中の陽だまりなどに生えている芹で香気も一段と強い。
用水路のコンクリート化や除草剤の散布などに因り昔に比べて田圃の畦の芹も減った。しかし、減反政策という愚策の結果、無造作に放置された田圃一面に芹が生えているといった光景にも稀には遭遇する。
ここ数年、私が芹を採る場所もそうした田圃の跡である。長期間にわたり放置されているため、無惨にも蒲などが蔓延っているが、その枯れた蒲の間から芹を採るのである。
芹には、ビタミンA・B・Cが豊富に含まれており栄養価も高いので所謂「野菜」としても優秀な食品である。
芹は胡麻和えやお浸し、鍋物の添え野菜にするのが普通であるが、特に秋田の郷土料理きりたんぽ鍋や山形の納豆汁には欠かせない一品である。
芭蕉の句にもある芹飯は、出汁と醤油で味をつけて炊き上げた飯に、軽く茹でてアクを抜いた芹を手ごろに刻んで混ぜたものらしい。
土筆飯は俳句の先輩のお宅でご馳走になった。大変残念なことだが芹飯は未だ食したことがないのである。
◆余所行きの靴を汚して田芹摘む 白兎
七種粥の歴史は古く、「若菜の節」或いは「七草の節句」と呼ばれる年中行事で五節句の一つである。五節句とは、正月七日の人日、三月三日の上巳、五月五日の端午、七月七日の七夕、九月九日の重陽をいう。
春の七草は次の歌を暗唱すると憶えやすい。「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・これぞななくさ」これを五・七・五・七・七の調子で四、五回も口ずさめば間違いなく憶えることができよう。
因みに、七草の植物学的な分類は以下のとおりである。7種のうちの3種がアブラナ科(キャベツや白菜の類)、2種がキク科(春菊やレタスの類)、セリ科(セロリ・パセリの類)、ナデシコ科(カーネーションやカスミソウの類)それぞれ1種である。
せり(芹)・・・・・・・・・・・・・しろねぐさ(白根草・・・・・・・・・・・・セリ科。
なずな(薺)・・・・・・・・・・・ぺんぺん草・・・・・・・・・・・・アブラナ科。
ごぎょう(御形)・・・・・・・・・ははこぐさ(母子草)・・・・・・・・・キク科。
はこべら(繁縷)・・・・・・・・こはこべ(小繁縷)・・・・・・・ナデシコ科。
ほとけのざ(仏の座)・・・こおにたびらこ(小鬼田平子)・・・・キク科。
すずな(菘)・・・・・・・・・・かぶ(蕪)・・・・・・・・・・・・・・・アブラナ科。
すずしろ(蘿蔔)・・・・・・・だいこん(大根)・・・・・・・・・・アブラナ科。
≪注≫「仏の座」は、シソ科のホトケノザとは別のもので「ホトケノザ」という名は、ロゼット葉の姿からつけられたものと思われる。すずな、すずしろに関しては異論もあり、辺見 金三郎は‘食べられる野草(保育社)’の中で‘すずな’はノビル、‘すずしろ’はヨメナとしている。
早春の田圃の畦や水辺で芹を摘むことは昔の人も好んだらしい。芹特有の香気が春の訪れを一層強く感じさせるようである。芹の中でも特に珍重されるのが所謂、寒芹である。寒中の陽だまりなどに生えている芹で香気も一段と強い。
用水路のコンクリート化や除草剤の散布などに因り昔に比べて田圃の畦の芹も減った。しかし、減反政策という愚策の結果、無造作に放置された田圃一面に芹が生えているといった光景にも稀には遭遇する。
ここ数年、私が芹を採る場所もそうした田圃の跡である。長期間にわたり放置されているため、無惨にも蒲などが蔓延っているが、その枯れた蒲の間から芹を採るのである。
芹には、ビタミンA・B・Cが豊富に含まれており栄養価も高いので所謂「野菜」としても優秀な食品である。
芹は胡麻和えやお浸し、鍋物の添え野菜にするのが普通であるが、特に秋田の郷土料理きりたんぽ鍋や山形の納豆汁には欠かせない一品である。
芭蕉の句にもある芹飯は、出汁と醤油で味をつけて炊き上げた飯に、軽く茹でてアクを抜いた芹を手ごろに刻んで混ぜたものらしい。
土筆飯は俳句の先輩のお宅でご馳走になった。大変残念なことだが芹飯は未だ食したことがないのである。
◆余所行きの靴を汚して田芹摘む 白兎