「山のあけびは何見て割れる。下の松茸見て割れる」この些か卑猥な文句は艶物と呼ばれる都都逸である。何処の宴席であったかは失念したが、厚化粧の老妓が秋田民謡「おこさ節」の節回しにのせて元気よく唄ってくれたのを今でも憶えている。
アケビはアケビ科の蔓性の落葉木本である。平地に多いのが五葉アケビで、山地には三つ葉アケビが多く、二つが交雑した中間種もある。近い仲間として郁子(むべ)がある。郁子は「ときわあけび」の別名が示す通り常緑であって実も開かない。
アケビの語源は「開け実」の意で、熟すと左右にぱっくりと開くことに基づいている。山姫という呼び名も熟したアケビの実から女陰を連想した命名である。秋に熟す漿果は、淡紫色を帯びた楕円体で、二~四個が車輪状につき、完熟すると縦に開裂し、黒い種子を多量に含んだゼラチン状の白い果肉を現す。アケビが笑むという表現はこの状態を指す。熟れた果肉は甘くて美味である。アケビの食い方にはちょっとした骨(こつ)を必要とする。先ず、果肉を種子ごと口に含んで種を噛み潰さないように解す。舌を器用に使い果肉と種子をわけるとよい。甘い果肉は唾液とともに啜りこみ、残った種子はぺっぺっと音をたてて吐き出す。ちょうど、種の多い西瓜を食うのと同じ要領と考えて差し支えない。従って、アケビの上手な食い方はどうしても品格に欠けるのが難点である。もそっと上品に食したいという向きには種ごと食べることをお勧めする。種を噛み砕くと苦くて不味いので、適度に味わったらそのまま呑み込めばよいのである。多量の種は生理的には何らの問題もなく糞として安全に排泄できる。
アケビの分厚い果皮は非常に苦く、生のままでは手におえないが、表皮を剥いた果皮の中に季節の茸や味噌などを詰め、爪楊枝で止めてから、植物油で揚げると苦味の利いた絶好の酒肴となる。嘗て、東北地方では囲炉裏の上にアケビの果皮を吊るして煙燻保存し、飢饉の際の救荒食とした。以上は一般的な果実の食い方であるが、山菜としては春の新芽を利用する。越後長岡地方ではアケビの新芽に限って「木の芽」と称して特別に扱い、雪解けの山から摘み採った「木の芽」を湯掻いて水に晒し、苦味を抜いてから胡麻醤油などで和える。アケビの利用価値は多岐にわたる。皮を剥いた蔓を晒して漂白したものでアケビ籠を編む。確か信州の野沢温泉だったと思うが、アケビの蔓で編んだ鳩車が所の名物である。
太い蔓の部分を輪切りにして乾燥させたものを「モクツウ」と呼ぶ。日本薬局方にも収載されている生薬である。漢方では消炎性利尿薬として鎮痛、排膿、通経等の方剤に加えられる。通経剤とは月経不順時に、来潮を促進させるのに用いる薬剤のことであるから、生薬としての役割も女性の下半身に縁が深いことになる。成分はトリテルペノイドのhederageninとoleanolic acidが知られている。
アケビの時季は存外短く、熟した順に小鳥や野猿が食べてしまうので、苦労して採っても果肉が入っていなかったなどということがしばしばある。最近では山形県あたりから栽培品の大きなアケビが果物店やスーパーなどに入荷しているので興味のわいた方は是非一度食べてみていただきた。
アケビはアケビ科の蔓性の落葉木本である。平地に多いのが五葉アケビで、山地には三つ葉アケビが多く、二つが交雑した中間種もある。近い仲間として郁子(むべ)がある。郁子は「ときわあけび」の別名が示す通り常緑であって実も開かない。
アケビの語源は「開け実」の意で、熟すと左右にぱっくりと開くことに基づいている。山姫という呼び名も熟したアケビの実から女陰を連想した命名である。秋に熟す漿果は、淡紫色を帯びた楕円体で、二~四個が車輪状につき、完熟すると縦に開裂し、黒い種子を多量に含んだゼラチン状の白い果肉を現す。アケビが笑むという表現はこの状態を指す。熟れた果肉は甘くて美味である。アケビの食い方にはちょっとした骨(こつ)を必要とする。先ず、果肉を種子ごと口に含んで種を噛み潰さないように解す。舌を器用に使い果肉と種子をわけるとよい。甘い果肉は唾液とともに啜りこみ、残った種子はぺっぺっと音をたてて吐き出す。ちょうど、種の多い西瓜を食うのと同じ要領と考えて差し支えない。従って、アケビの上手な食い方はどうしても品格に欠けるのが難点である。もそっと上品に食したいという向きには種ごと食べることをお勧めする。種を噛み砕くと苦くて不味いので、適度に味わったらそのまま呑み込めばよいのである。多量の種は生理的には何らの問題もなく糞として安全に排泄できる。
アケビの分厚い果皮は非常に苦く、生のままでは手におえないが、表皮を剥いた果皮の中に季節の茸や味噌などを詰め、爪楊枝で止めてから、植物油で揚げると苦味の利いた絶好の酒肴となる。嘗て、東北地方では囲炉裏の上にアケビの果皮を吊るして煙燻保存し、飢饉の際の救荒食とした。以上は一般的な果実の食い方であるが、山菜としては春の新芽を利用する。越後長岡地方ではアケビの新芽に限って「木の芽」と称して特別に扱い、雪解けの山から摘み採った「木の芽」を湯掻いて水に晒し、苦味を抜いてから胡麻醤油などで和える。アケビの利用価値は多岐にわたる。皮を剥いた蔓を晒して漂白したものでアケビ籠を編む。確か信州の野沢温泉だったと思うが、アケビの蔓で編んだ鳩車が所の名物である。
太い蔓の部分を輪切りにして乾燥させたものを「モクツウ」と呼ぶ。日本薬局方にも収載されている生薬である。漢方では消炎性利尿薬として鎮痛、排膿、通経等の方剤に加えられる。通経剤とは月経不順時に、来潮を促進させるのに用いる薬剤のことであるから、生薬としての役割も女性の下半身に縁が深いことになる。成分はトリテルペノイドのhederageninとoleanolic acidが知られている。
アケビの時季は存外短く、熟した順に小鳥や野猿が食べてしまうので、苦労して採っても果肉が入っていなかったなどということがしばしばある。最近では山形県あたりから栽培品の大きなアケビが果物店やスーパーなどに入荷しているので興味のわいた方は是非一度食べてみていただきた。
そう言えば 子供の頃 あけびを取りに行った記憶が わずかに残っています
何故か 食べた記憶が有りません
青柳はお袋の旧姓です。
アケビをたくさん食べると種がいっぱい入ったアケビのようなウンコがでます。