恋果てゝ鶏頭の紅にも無心 鈴木真砂女
ケイトウ(鶏頭)Celosia argentea。花の形状がニワトリの鶏冠(とさか)に似ていることからこの名がついた。花期は6月から9月頃。学名は花が燃え盛る炎を彷彿とさせるという意味のギリシャ語(keleos)からきた。原産地はアジア、アフリカの熱帯地方とされる。日本には奈良時代に中国を経由して渡来した。昔はどの家でも庭に植えていたが最近はあまりはやらない。
鶏頭の十四五本もありぬべし 正岡子規
この俳句は明治33年(1900)9月に子規庵で行われた句会で出された作品である。「鶏頭が十四、五本も咲いてるに違いない」という意味で、病に臥せていた子規が病床から庭先の鶏頭を詠んだ句だとされる。昭和20年代にはこの句の評価をめぐって鶏頭論争と言われる論争が起こった。斎藤茂吉は、子規の写生が万葉の時代の純真素朴にまで届いた芭蕉も蕪村も追随を許さぬほどの傑作としたが、高浜虚子はこれを駄句として子規の俳句撰集に最後まで入れなかった。