おとといから、手袋が片一方、行方不明になった。
捜査を続けたが、手袋は見つからない。
今日の午前中は、文教厚生常任委員会の所管事務調査だった。
お昼過ぎ、残されたもう一方の手袋を
ダウンジャケットのポケットに突っ込み
市役所の駐車場へ向かった。
外は冷たいミゾレがふっていた。
愛車に近づくと、ジャケットのポケットから
キーを取り出した。
キーホルダーに手袋が引っ掛かり、地面に落としてしまった。
手袋はあいにくのミゾレのせいで、ベチョベチョに濡れていた。
わたしは、エンジンをかけるとエアコンの吹き出し口へ
手袋をおいた。
そう・・・乾かすためだ。
背の低いわたしには、フロントガラスの吹き出し口が
見えないのだ。
手袋をおいたとき、
指先が何かモコっとしたものにふれた。
必死で腕を伸ばし、モコっとしたものをつかんだ。
それは、行方不明になっていたもう片一方だった。
わたしのミスはミステリーのミスではなかった。
ただのうっかりミスだった。
言い換えれば、ボケである。
しかし、謎は残った。
いつそこに置いたのか・・・
ハッと気づいた。
わたしの脳内こそがミステリーだということに・・・