『いらっしゃいませ。Gの今日がはじまります。』
そう締めくくられる短いブログが、あれから二週間、毎日更新されている。
その日の季候のこと、ほんの少し気がついたこと、贔屓の野球チームの勝ち負け。
さほどに意味のないがなんとなく目を引く一枚の写真とともに、短いコメントが添えられている。
人に薦められて、始めた店のブログだったが、やはり自分には向かない。毎日の更新どころか、時折思い出したようにアップするのが精一杯。自分のブログをチェックすることも、ほとんどないような放置状態。
それでも、狭い地域限定のようなサイトのブログの中、お客様の中には同じサイトのブロガーさんが沢山いらっしゃる。そして時折ブログの話しから、会話が広がってくることもある。
「パスを教えてくれたら、毎日更新するわ。」
今夜も一人でカウンターに座ったその女性(ひと)はそう言った。
「いいですよ。」
手元にあったメモに、ブログのIDとパスワードを書いて渡した。毎日この店のブログをチェックしてくださるその女性。どうせ放置してあるブログ、何を書いてくれるのかはわからないが、アップしてくれるのならそれも面白い、そう思った。
この店にしては早い時間にはお帰りになるその女性、帰り際に渡したそのメモのことすらその後の忙しさに忘れていた。
一週間たった頃、まだ店も混まない時間に入ってきたメール。
『ストップをかけてくれたら、すぐに止める。』
そのメールで、その女性に渡したメモを思い出した。まさか本当に毎日アップしていると思わなかった。酔っ払いの戯言ではないが、酒の勢いのことだろうそう思っていたのだ。
「私は嘘は言わないわ。約束したことはちゃんと守るの。」
次の日の夕方、電話でその女性はそう言った。そのままそのまま任せてみよう。何をどう書かれたとしても、それならそれで面白いのではないか、そんな気になってしまった。
さらにそれから一週間。時折苦笑してしまう時もあるが、同じペースで何かを確立するかのように、ほぼ決まった時間にアップされ続けている。
同じ業種ばかりが集まる、小さな地域サイト、営業目的でアップされているものがほとんど。それが一番に自分の中で引っかかってしまう。
「あなたが、アップできない気持ちがわかるわ。」
カウンターで、いつものスコッチをいつものようにロックで呑みながら、その女性はそう言った。
「人のことは言いたくなでしょ。自分のことも出したくはない。店の営業として使うこともあまりしたくない。その日のお客様のことも出したくはない。お客様のプライベートや迷惑を考えるとね。まして、ここは男ばかりだから、他のお店のように綺麗なかわいい子をアップしというわけにはいかない。」
まったくその通り。
「あなたになって書いてみると、本当に難しいわ。自分のサイトのブログならば、まず地域を特定しなければ、どこに住んでどうしている人なのかはある程度は隠しておける。でも、このサイトはそうはいかない。」
ゆっくりとグラスをくぐらせながら、その女性は続ける。
「もう少し遊ばせてね。あと少しだけ、あなたになっていたいの。」
そう締めくくられる短いブログが、あれから二週間、毎日更新されている。
その日の季候のこと、ほんの少し気がついたこと、贔屓の野球チームの勝ち負け。
さほどに意味のないがなんとなく目を引く一枚の写真とともに、短いコメントが添えられている。
人に薦められて、始めた店のブログだったが、やはり自分には向かない。毎日の更新どころか、時折思い出したようにアップするのが精一杯。自分のブログをチェックすることも、ほとんどないような放置状態。
それでも、狭い地域限定のようなサイトのブログの中、お客様の中には同じサイトのブロガーさんが沢山いらっしゃる。そして時折ブログの話しから、会話が広がってくることもある。
「パスを教えてくれたら、毎日更新するわ。」
今夜も一人でカウンターに座ったその女性(ひと)はそう言った。
「いいですよ。」
手元にあったメモに、ブログのIDとパスワードを書いて渡した。毎日この店のブログをチェックしてくださるその女性。どうせ放置してあるブログ、何を書いてくれるのかはわからないが、アップしてくれるのならそれも面白い、そう思った。
この店にしては早い時間にはお帰りになるその女性、帰り際に渡したそのメモのことすらその後の忙しさに忘れていた。
一週間たった頃、まだ店も混まない時間に入ってきたメール。
『ストップをかけてくれたら、すぐに止める。』
そのメールで、その女性に渡したメモを思い出した。まさか本当に毎日アップしていると思わなかった。酔っ払いの戯言ではないが、酒の勢いのことだろうそう思っていたのだ。
「私は嘘は言わないわ。約束したことはちゃんと守るの。」
次の日の夕方、電話でその女性はそう言った。そのままそのまま任せてみよう。何をどう書かれたとしても、それならそれで面白いのではないか、そんな気になってしまった。
さらにそれから一週間。時折苦笑してしまう時もあるが、同じペースで何かを確立するかのように、ほぼ決まった時間にアップされ続けている。
同じ業種ばかりが集まる、小さな地域サイト、営業目的でアップされているものがほとんど。それが一番に自分の中で引っかかってしまう。
「あなたが、アップできない気持ちがわかるわ。」
カウンターで、いつものスコッチをいつものようにロックで呑みながら、その女性はそう言った。
「人のことは言いたくなでしょ。自分のことも出したくはない。店の営業として使うこともあまりしたくない。その日のお客様のことも出したくはない。お客様のプライベートや迷惑を考えるとね。まして、ここは男ばかりだから、他のお店のように綺麗なかわいい子をアップしというわけにはいかない。」
まったくその通り。
「あなたになって書いてみると、本当に難しいわ。自分のサイトのブログならば、まず地域を特定しなければ、どこに住んでどうしている人なのかはある程度は隠しておける。でも、このサイトはそうはいかない。」
ゆっくりとグラスをくぐらせながら、その女性は続ける。
「もう少し遊ばせてね。あと少しだけ、あなたになっていたいの。」
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