現代社会と美の追求
‘男の顔は履歴書’という言葉があります。ある年齢になれば、自分の生き様が顔にあらわれるから、男は容貌も含めて責任を持てという意味でしょう。(ちなみに‘女の顔は請求書’と続くそうですが、こちらは余談です。)一方まさに美容医学の発達と共に、生き様とは関係なく、手っ取り早く良い履歴書を作ってしまおうというのが、所謂‘リクルート整形’です。内面はともかく外面において、より好印象を持ってもらうことで就職戦線を勝ち抜こうとする考えです.
数年前にあるリクルート会社が5000人の韓国の求職中の男女にアンケートした結果、「就職の為に容姿に投資するか?」との問いに86.1%が肯定的であったとのことです。これは韓国だけの傾向ではなく、最近の中国、インドでも同様な現象から美容外科が流行しています。
当クリニックにも若者だけではなく年配の男性管理職の方々が仕事上にも、若々しくみられたいとの希望からシワ、シミの治療を訪れる数が年々増えてきています。経済紙を広げても、アンチエイジング関係の商品、サービスが頻繁に登場することから、人々のニーズの多さを垣間見ることができます。
アメリカのテキサス大学で「外見的容姿と経済性」をまじめに研究した経済学者がいました。様々な角度から美男美女度と所得の高さ、雇用人材の美男美女度と企業の付加価値、生産性、そして経営者の容姿と企業の印象度などを分析したものですが、なかなか興味深いものです。この研究の結論としては、容姿の評価の高さと経済性は比例的に関係すると言うものでしたが、勿論異論もあるでしょう。ただ、人間が社会的動物である以上、相手に与える印象として外見も、能力的個性の一つであると言えます.
‘いつまでも若々しく健康で綺麗にいたい。’との思いは、不老不死を求め、遠く日本にまで夢の妙薬を求めた秦の始皇帝の時代から今に至るまで、誰もが持つ希望の一つでありました。そして今、再生医療、坑加齢医療、美容医学がその夢にどこまで迫っているのか、若い頃ブラックジャックに憧れ、めざした一人の在日医師として、追求し紹介していきたいと思います。
『東洋経済日報2008.3.7掲載』
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