炸醬麵(チャジャンミョン)とラーメン
日本料理と言えば‘お鮨、天麩羅’、韓国料理なら‘焼肉’というのが、国花、国鳥ならぬ「国食」でしょうか。しかし、一般的なイメージとは別に、日本人に最も愛され親しまれている食べ物は‘ラーメン’ではないかと思います。全国にラーメン屋は、5万件以上で、日本人なら‘行きつけの店’が1~2件はありそうです。また、インスタントラーメン、カップラーメンまで加えると、大人から子供まで週に一度は食べているのではないかと考えます。ちなみに日本で最初にラーメンらしき汁そばを食べたのは、水戸黄門(徳川光圀)だそうです。当時 明の国から亡命した儒学者が中国の汁麺を献上したとされ、これが日本に伝わった最初のラーメンらしきものだということです。
では韓国の「国食」は焼肉でよいかと言えば、こちらも老若男女、皆に好かれ、よく食べる料理ならば‘炸醬麵 (チャジャンミョン、ジャージャー麺)ではないかと私は思います。盛岡では冷麺とともにジャージャー麺も比較的よく食べられているようですが、日本ではあまり知られていないかも知れません。(盛岡冷麺が韓国の冷麺とはやや異なるように、ジャージャー麺とチャジャンミョンも同じ味とは言えませんが・・・)炸醬麵は、コシのある手延べ麺に、春醤(チュンジャン)という黒い味噌に玉ねぎ、豚肉などを炒めたソースをかけたものです。上に生のキュウリの千切りが乗っていて、麺とよくからませてから食べます。安価でお腹が満たされた上、なぜか何度食べても飽きがこない味です。私も韓国留学時代は週に2~3回は食べていました。1900年初めに仁川(インチョン)の中華料理店「共和春」が元祖と伝えられており、来年にはチャジャンミョン博物館がオープン予定だと聞きました。
チャジャンミョンもラーメンも、その原型は中国由来ですが、各国で独自に発展し、愛され、国民食になった点は、両者とも似ています。食に限らず、文化は発祥も大事ですが、その土地でどのように昇華、融合していくかが、より意味があるのかも知れません。もう一つ面白いチャジャンミョンの話で、韓国では黒い服を着て、黒味噌のチャジャンミョンを食べ、ブラックコーヒーを飲むブラックデーというのがあります。口の周りが食べるときに汚れるということで、デートには向かない食事というイメージを逆手に、バレンタインデー、ホワイトデーに縁のなかった男女が慰めあう日というわけです。転んでもただでは起きない韓国人魂でしょうか・・・