化粧と仮面と美容整形
中国人の女性が、来日した当初「日本の女性はいつも化粧をしている。」ことに驚いたというブログを読みました。同様の話を、北欧から留学に来た女性の感想でも見たことがあります。要するに、中国の女性は、仕事や何か必要性があるときは、しっかりメイクをするけれども、普段は素顔で過ごしているということらしいです。実際 あるアンケートで、ちょっとした外出でも化粧をする女性が、日本では70%以上でした。
ところで女性はなぜ化粧をするのでしょうか?先ほど近くに出かけるときもメイクをすると答えた人たちに、その理由を尋ねると6割以上が‘マナーとして’ということでした。一方 女性が化粧をすることで、自分の意識の切り替え効果があることも研究されています。つまり 別の自分になるとまでは言わないまでも、気持ちを仕事や恋愛モードに変えるスウィッチであるわけです。また脳科学者の茂木健一郎氏の著書「脳の化粧」によると人間は 自分の顔を見たときと他人の顔を見たときは脳の活動領域が異なることが知られているのに、化粧をした自分の顔は 他者の顔を見たときの脳活動に近かったそうです。これは、化粧をすることで意識の中では自分を他人のように客観視し、他人のように行動する自分を受けいれることができる‘仮面効果’とも言えるかも知れません。
美容外科医の私としては、‘美容整形治療’によっての意識や脳活動の変化についても調べてみたいところです。経験上では、治療によって以前より客観的にも主観的にもバランスが良くなった場合、それを素顔と受け入れるのは驚くほど時間がかかりません。韓国など「形が美しいものは内面も美しい。」という美の価値観が存在しうる社会では、美容整形を肯定的に考え、自然に受け入れる傾向がより強いとも考えられます。 お化粧を男性に媚びる社会価値観からくるものとして否定的に捉えるフェミニストの説もありますが、美容整形を受ける理由として、「異性のためよりも自分自身のため。」と話す女性が増えてきているのも最近感じるところです。お化粧が他人に見せるためならず、自分自身を客観的に見るための眼鏡なら、美容整形は付けていることも忘れる特殊なコンタクトンズに例えられないでしょうか。
女性たちのお化粧や美容治療を、自己満足とやや冷めた視線で見る男性諸氏も、ご自分の中の自己満足な物にはお気づきにならないことも多くないですか?
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アジアン美容クリニック