韓国の人と話していると、ノーブレス・オブリージュ(Noblesse Oblege)という言葉がよく聞かれます。フランス語ですが、直訳すれば「高貴な者には義務が伴う。」ということになります。この言葉が最初に使われたのは、イギリスの女優であり著作家のファニーケンブルの1837年に書かれた手紙「貴族が義務を負うのなら、王族はより多くの義務を負わなければならない。」の一節です。そして英国では今でも、この手紙のような精神が受け継がれていると言われます。此度、婚姻されたウイリアム王子も空軍大尉としての軍務についていますし、弟のヘンリー王子も当然の事としてアフガニスタン前線への派遣軍務を務めてきました。貴族、王族と言った純然たる階級がいまだに存在する英国社会では、庶民とは別の生活をする彼らは、有事には誰よりも率先して自らの命を懸けて、国民を守る義務があると考えられています。逆にそれがなければ革命が起き、貴族など存続できなかったとも言えるかも知れません。
現在でのノーブレス・オブリージュは、一般的には地位の高い者、富裕層、有名人などに対して、社会的な模範になるような行動や奉仕を要求する意味で使われるようになりました。日本では、‘高貴な者’とか‘エリート’といった存在自体へのアレルギーがある為か
この言葉を使うのが、若干躊躇されるような気がします。今回震災後の日本人全体、被災した集団での節度や礼節は、世界中が賞賛したものですが、反面 中央政府や企業のトップの対応や指導力には、多くの不満が聞かれもしました。勿論、売名行為などという陰口を嫌って、匿名で義捐金や援助をする著名人も多いとは思いますし、それが美徳という価値観もありますが、逆に社会的な影響力のある立場の人が 率先して行動することでリーダーとしての役割と義務を若い人に示すことができるのではないかと思います。