不況と流行
新年を迎え、デパートも恒例の福袋を準備してスタートしました。しかし、例年に比べどうも街に活気が感じられません。数十年に一度といわれる経済状況から致し方ないのでしょうが、景気というだけあって、人々の気もちが、まさに街並みの雰囲気も変化させてしまうのでしょう。韓国ファッション界には「不況になるとミニスカートが流行る。」という説があるそうです。一方日本では、「景気が良いとスカートの丈が短くなる。」と正反対の俗説があります。実際はどうでしょうか?韓国 梨花女子大 衣装学科の教授が検証したところ、明確な関連性は無いようです。私が想像するところは、韓国では不景気のときは心理的に刺激的なものを望むため、そのように言われ、日本では 過去の高度成長期のミニスカートブームが 思い出として重なった為、逆のイメージが生まれたのではないでしょうか。
韓国では今多くの商品の売り上げが低迷する中、化粧品は比較的堅調に推移しているようです。特に、濃い赤色や鮮やかなピンクの口紅が好調であると。不況時ほど女性たちがわ外に出て、積極的に自分をアピールする為ではないかとの分析です。ミニスカートよりも実情を反映しているように思えますが、韓国女性のバイタリティーの現れであると、肯定的に評価したいです。
「不景気に多い美容整形の相談は?」という取材を受けたことがありますが、難しい質問で、これだと言えるものはありません。ただ私のクリニックで最近多いかなと思えるものは、唇を厚く、ふっくらさせたいというものでしょうか。情熱的で且つ温かいイメージを期待できる意味では、自分には自信を、相手には癒しの心理的効果があるとも言えるでしょう。何よりも 心まで消極的にならないことが、困難なときの大切な処方箋であると思います。
一方、男性の方で、売り上げが伸びているアイテムを探してみると・・・金融恐慌、経済危機などの不況本が1.5倍から2倍の伸びであるといいますから、少し複雑な気持ちになります。とにかく、今年一年、日韓両国にとって、良い年でありますように。
『東洋経済日報2008.掲載』