男女平等?
韓国は儒教の国であるといわれます。儒教はご存知のとおり孔子を始祖とする思想・信仰体系です。孔子は 君子の政治を理想として、仁義の道を実践して、上下秩序の分別を唱えました。その分化として朱子学が生まれ、13世紀には朝鮮に伝わり、朝鮮王朝では、高麗の国教であった仏教を排して、朱子学を国家の当時理念として用いました。両班(ヤンバン)を中心とした身分制度を確立して、社会規範として親子、夫婦、年功などの意識が根付いていくことになります。国家統治の手段として権力者に利用された部分もありますが、礼として良い意味で今も残っている部分もあると思います。
反面、時代の中で古い風習や差別として、女性にとっては不満の要因になってきているのも事実かもしれません。ダボス会議で知られるスイスに民間研究機関「世界経済フォーラム」が発表した「世界男女格差報告2008」で韓国は世界130国中108位でした。ノルウェー、フィンランド、スウェーデンが1,2,3位と北欧諸国が上位であることはわかるとしても、フィリピン6位、中国57位と比べて、アジアでも下位であると評価されました。
(ちなみに日本も江戸時代、明治とやはり朱子学などを倫理規範とした影響か、先進国中では最低の98位でした。)
この調査報告で、国会議員や閣僚の数などとともに、特に男女出生率の差、女性の技術、専門職への進出などで韓国の男女格差が指摘されています。世界的不況の中、特に資源の乏しい国では 人口の半分である女性の能力を最大限活用することが、国益にも繋がるでしょう。
しかし、韓国のように徴兵制が義務付けられている国の特殊性も考慮しなければいけないかもしれません。韓国の男子学生に対するアンケートで、兵役など韓国では男性差別があると答えた学生が半分近くいます。最近の男性は、逆差別を感じるほど進歩的になったのか、弱くなったのか・・・
『東洋経済日報 2008/12/5掲載』