‘美しさ’という概念の中で、シェイプアップ、スリムというキーワードは、女性を中心に先進国では近年当たり前の条件の一つに挙げられるようになりました。しかし、実際には美しさは時代や地域、流行、そして一人一人の好みなど主観的な部分も大きいものです。ですから、美容医療に携わる一人として時代のニーズに合わせながらも客観的な立場で治療の必要性、安全性を判断していく必要があります。
具体的に痩せる方法と言っても目的によって様々な選択があります。体重を減らし体全体を健康にすっきりさせるということならば時間をかけて食事・運動をとり混ぜて一定期間続けていく以外は医学的には早道はありません。残念ながら内服・ダイエットサプリ・他人任せのエステ的マッサージでは効果はほとんど感じられないでしょう。(逆に飲むだけで痩せたなどの効果があれば危険性や副作用を疑うべきです!)
一方下腹部や上腹部・腰回り・お尻・大腿部などの中々減りにくいところの部分痩せの方法は全身的なダイエットだけでは難しいところです。医学的な治療として効果の面だけ考えれば脂肪吸引術という手術が確実であるのは間違いありません。しかし手術に対する不安、抵抗感、また時間的にも二の足を踏む人が多いのもまた当然かもしれません。当院では手術以外で本当に効果のある治療法に関して数年前より注意深く情報を集めてきました。効果をうたう以上実際に一時的なリンパ水分移動などのマッサージや温めによる変化でなく脂肪細胞の破壊、変質、吸収を伴うものでなくては意味がなく、かつ侵襲が少ないことが条件です。
クール・スクラプティングは、脂肪細胞が皮膚・神経・筋肉など他の組織よりも融点が高いという特徴を利用して、皮膚の表面から冷やすことで皮膚や筋肉など他の組織は変化を与えず脂肪細胞を自然に細胞死(アポトーシス)へと誘導します。その後死んだ脂肪細胞は時間をかけて(2か月~3か月)体外へ排出され脂肪層が減少します。施術は一か所(手のひら二枚分弱)に一時間、痛みはありません。一回の施術で効果は実感できますが広範囲を希望する場合は部位ごとに治療が必要です。当院ではクールス・カルプティング治療とともに高密度焦点式超音波(HIFUテクノロジー)を採用した治療機器ライポソニックスも併用し様々な部位へ対応できる非手術的脂肪細胞減少治療を行っています。
ダイエット特にボディ―ラインの形成は美容医療の大きなテーマであり現時点でできる治療の選択はかなり多様になってきたのは事実です。
アジアン美容クリニック 院長 兼 帝京大学附属病院美容センタ―講師 鄭 憲