国籍と国家代表
サッカーのアジアカップは日本の優勝で幕を閉じました。PK戦で惜しくも日本に敗れ、悔しい思いをした韓国ファンも多かったと思いますが、日本の決勝ゴールを決めたのが在日4世の李忠成選手ということで、韓日両ファンにとって最後まで堪能できた大会でした。特に在日外国人が増加していくこれからの社会を考えたとき、ある意味、最も理想的な結果、シナリオではないかとも感じました。
世界がグローバル化し、特に東アジア地域がより近く、より頻繁に交流する時代、国や民族に対する考え方や価値観も変わりつつあります。反面、外国に出ること、また外国人と接することで改めて自国や、自分の国籍をより意識することにもなります。比較的若い世代でも、一般の日本人よりも在日コリアンたちが、自分なりのアイデンティティー強く持った人が多いのは、物心つくころから周囲との違いを肌で感じ「自分とは何者なのか?」という問い一度は悩み、考える環境のためでしょう。勿論その結果、自分なりの価値観、アイデンティティーが生まれるわけですから、在日だからと言って十把一絡げに考える気は毛頭ありません。ただ、私などは、サッカーにしろ、他の競技にしろ、韓日戦を観戦するとき、どちらを心から応援すべきなのかと想うことがあります。勿論 心情的には韓国に勝って欲しいと思いますが、日本社会に住む一員としては、両国が善戦しフェアーな試合であることが勝敗よりも大切であるとも思うのです。そして、今回のアジアカップは、拮抗した好試合の末、韓国に日本が競り勝ち、決勝では、在日の李選手が試合を決めるヒーローとなり、観戦する在日ファンにも、韓日両国民にとっても納得できる結果ではないでしょうか。
韓国では昨年より国籍法の改正が進められ、今年前半にも施行されようとしています。その一つに、優秀な人材に対して二重国籍を認めようという項目が含まれます。少子高齢化の現実の中では、国が必要とする人材の確保は必要なことなのかも知れませんが、国のご都合主義かなとも感じるところもあります。李忠成選手が両国の二重国家代表になれないように、国を選ぶことと国籍を選ぶことは、似て異なるもので、やはり簡単ではありません。