先週韓国では、今年12月の大統領選挙の前哨戦とも言える国会議員総選挙が行われました。世界の中でもアジアの役割が今後拡大していくことが予想されるうえ、北朝鮮の指導者が変わり、朝鮮半島そして東アジア圏の将来を占う意味でも韓国だけでなく日本にとっても重要な選挙だったかも知れません。在外国民に投票権が与えられた初めての選挙であること、そして韓国での大学時代の知り合いが比例代表で出馬したこともあり個人的にも注目した選挙でした。結果的には、当初劣勢が伝えられた保守派与党のセヌリ党が、何とか単独過半数を維持しました。そのお陰か、その昔 悩み相談など聞かされた友人もセヌリ党の候補として見事当選したようです。
今回の選挙の構図は、文字通り政権基盤を守ろうとする保守与党のセヌリ党と、大統領選を見据えて5年ぶりに政権を奪回しようとする進歩派野党の民主党の一揆打ちです。そして、従来その構図の裏には、常に韓国政治の悪弊といわれる地域主義が存在していました。例えば全羅北道、全羅南道という進歩基盤の強い地域で、保守派の候補が当選どころか善戦することさえ困難です。今回も 地域色は確かに見られましたが、確実に地域主義を超えて善戦する候補も存在しました。それ以上に明解に現われたのは、「世代間の差」です。韓国全体を通して、20代、30代、40代では全て野党支持が大きく上回っているのに対して、50代、60代以上では保守与党支持が明らかでした。ツイッターやフェイスブックといったネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が選挙でも大きく影響を及ぼすといわれる最近の韓国の状況も、実際のSNS利用者の8割が、20~30代であること、そして韓国でのSNS利用者の約半数がソウル地域であり、ソウルでは地方と異なり野党が圧勝した結果を考えると根底にあるのは、やはり世代格差とも言えます。
一方、少子高齢化では一歩先にいる日本でも、あえて表面化して取り上げてはいませんが同じではないかと考えます。亡くなったキャスターの筑紫哲也さんが、闘病で暫らくニュース番組を降板する直前、最後の放送で「日本にある様々な問題の根底にあるものは最終的には老人と若者の争いである。」といった内容の提言をしていたのが印象的で今でも記憶に残っています。長らくマスコミ人として新聞、テレビなどの大衆メディアの発信者としては言えなかった本音ではなかったのでしょうか。