美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

熱中症と日射病と熱を受ける性

2014-09-09 13:22:57 | Weblog

韓国語で熱(ヨル)を受ける(バッタ)と言えば、「頭にくる、むかつく」という意味ですが近年の東アジア圏の猛暑は「頭にくる」どころか体にくる熱中症の危険を孕んでいます。今年の夏も既に韓国、日本でともに熱中症と思われる患者が多く発生しています。実は先日ついに我が家でも約一名(家内です・・)それらしき症状でダウンしました!元々冷房嫌いなうえ、電力不足から原発再稼働を推進しようとすることに対する抗議の意味?かどうかはわかりませんが、先週末の猛暑の中エアコンなしに頑張ったところ、めまいと吐き気を訴えて暫し休戦となりました。幸い、涼しい場所で安静をとり、塩分と水分を十分に摂取させたところ間もなく回復しましたが、本人もびっくりしたようです。

「熱中症」という言葉は最近夏になれば頻繁にニュースでとりあげられ知らない人は少ないと思いますが、私も含め中高年の方々には「日射病」の方がなじみ深いでしょう。医学的には、暑熱環境により体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節機能が効かなくなることで起きる様々な症状を「熱中症」と定義しています。さらに以前は熱中症を障害の病態から「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」と細分化していましたが、最近は言葉のわかり難さや臨床現場での迅速な対応を考慮して、Ⅰ度「現場で対応可能」、Ⅱ度「受診が必要」、Ⅲ度「入院が必要」の3段階に重症度で分類しています。日射病は旧分類の熱射病のうち太陽の光が原因のものを指す言葉で、正式な医学用語というより一般的な表現として使われてきたようです。子供の遊び方や学校活動、人々の生活スタイル、高齢化など様々な要因が病気の表現にも影響しているかも知れません。

明治30年 森林太郎の著書 「衛生新編」(南江堂)の中で、ドイツ語のHitzschlag を熱中症と訳したのが日本でこの言葉を用いた最初です。森林太郎とは、いわずと知れた文豪 森鴎外で、軍医としては陸軍軍医総監、陸軍省医務局長まで上りつめました。脚気の原因に関してはビタミン欠乏説を否定し、陸軍内に多くの死者を出したと後世批判されますが、高温による影響が陽射しだけではないことを示した功績は再評価すべきでしょうか。

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