美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

ロンドン見聞録①

2013-07-11 10:07:39 | Weblog

  時期外れの休みをとってロンドンに行ってきました。限られた時間だけに、初めて訪れたイギリスはその中心であるロンドンに絞って、赴くまま見て感じてみようと思いました。ホテルは短い滞在期間中、何度か気軽に足を運びたいと考えて大英博物館最寄の地下鉄ラッセル・スクエア近くにとり、市内の他の場所には地下鉄・バスの一日乗り放題のトラベルカードを利用しました。ロンドン地下鉄は世界初1863年に開業し今年で150年です。初期にできた路線以外は、トンネル断面が丸いため親しみを込めて‘the Tube’と呼ばれています。乗車チケットを購入する駅の自販機で選択できる言語メニューの多さから予想はできましたが、ちょっと狭い車内は、まさに人種のるつぼであり、改めて多文化、多民族国家であることを実感します。

 イギリスの正式名称であるグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(The United Kingdom of Great Britain and Northern IrelandK)が示すように、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという民族、文化および歴史を異とする四地域の連合によって成り立っている国であり、イギリス人という人種は存在しません。さらに、第二次世界大戦後の経済成長期に旧植民地諸国からの移民を積極的に受け入れたことで現在の多文化社会が形成されてきました。他のヨーロッパ諸国でも移民政策は多く取り入れられていますが、国名の通り連合国であることや、いまだに王政、貴族制度が維持され身分的な階級差という意識が現存することでむしろ平等感覚が厳密でない面、文化や民族、宗教に対する同一性を強く求めないところが比較的寛容的な移民政策に繋がっているのではないかと想像します。理想的な平等論よりも、差別や違いは本来あるものとして多様な人間が共存する世界を志向したのでしょう。たまたま訪れたバッキンガム宮殿では、何か王族、貴族のパーティーがあるのか貴族然とした絵で見るような紳士淑女が宮殿に入っていく列に遭遇しました。その横では、様々な肌の色の一般人が昼時間という事で街に出てきて、そのコントラストがまさに今のイギリスを象徴するように私には感じました。

 「食事の美味しい国を植民地にした」と揶揄されるイギリスの食文化は別として、多文化家族という言葉がようやく定着してきた韓国、文化の受け入れ、同化は上手でも人の交流では奥手な日本は、イギリスの在り方は参考にはなるでしょう。


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