美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

当世医学生気質

2012-06-06 19:23:32 | Weblog

ここ数年、週に一度、医学生に形成外科・美容外科の講義をしています。意外と知られていない形成外科という診療科の治療内容や美容外科との相違点等を一時間半程度の間に説明していますが、講義の後に医師として或いは社会人の先輩として学生と世間話をする30分は、私にとって最近の学生の考えかたや性質に触れられる貴重な時間です。一般論的に医学生と言っても一人ひとり個性もあり、また大学によって雰囲気も若干異なるでしょうが、概して感じる印象は皆非常に真面目でおとなしいという点です。医学部人気は今も昔以上に高いと聞きますから、もともと真面目に勉強するタイプでなければ入学できなかったでしょうし、苦労して(親も!)通っている以上国家試験に合格し、早く医師になろうという覚悟は皆強く持っています。その反面、どんな意味でも若い時期にある熱意や疑問、将来的な希望や理想については話していても少し物足りなさを感じます。

当クリニックの韓国語版のホームページを見て、患者さんだけではなく、時々韓国の医大生から得も個人的な相談メールが来ることがあります。先日は、ソウル大学の工学部に通っているという男子学生からのメールでした。どうもその彼は工学部を卒業しても、あまり将来性を感じられない為に医学部に編入し、その先は韓国で高収入と考えられている形成外科医になりたいと考え、私にアドバイスをして欲しいという内容でした。現実的といえばそうですが、非常にストレートな質問で面白く思ました。華やかで直ぐにでも経済的にも恵まれるといった一般的なイメージとは異なり、実際は形成外科医を経て美容医療を専門に携わるまでの道のりの長さや実際の治療の様々な側面を説明し、私は一生の仕事としてやりがいを感じていること、本人もぜひ頑張って欲しいといた返事を出しました。その後「もう一度よく考えて見ます。」とのメールが来てからは、連絡はありません。もしかしたら、どうも思ったより割に合わないと考えたのかも知れません。

少し前に朝鮮日報の記事で、当時教養課程の教授がソウル大医学部に入学した学生に「私の20年後」という作文を書かせた原稿を20年後に本人にコピーして送ったという話が紹介されました。自分の作文を20年ぶりに読んだ医師たちは、夢を持って入学した若き日に、己の将来を想像して描いた作文の内容と目の前の仕事に追われる現実とギャップに気づき、ある人はもう一度理想を目指す決心をしたとあります。体は老いても心はいつでもタイムマシンに乗れるものです。

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