石坂 グレーデッサン
マユカです。本日は石坂さんの作品をご紹介します。
軽そうに見えて、意外にもずっしりとしている鹿の頭蓋を、墨汁やチャコールペンシル・パステル・鉛筆・木炭など、あらゆる白黒の画材を駆使して、グレーの画用紙に描かれました。
骨に落ちた影は力強く、角に当たる光は繊細に、奥へ行くほど白を薄く(少なく)して遠近感を演出しています。ここまで大胆に描いているにもかかわらず、凹凸が表現しにくい歯列を、潰さずに描かれているのを見るに、見やすいデッサンがどうであるかをしっかりと理解されているように感じました。
また、大きくにじみ広がった地面の影もかなり目を惹きますね。画板を立て、墨汁を垂らし、意図しない形へと変わる影を、その上からさらにどんどんと描き進めていくことでモチーフとなじませ、自然でリアリティを感じる画面の中に、2次元的な表現が加わることで、見ている私たちに新しさを感じさせ、興味を引くような形になっています。
石坂さんはずっと白黒の絵画(デッサン)にこだわって制作されていますが、偶然を活かすこのような技法には翻弄されていらっしゃいました。
岩田先生の勉強会でのアクションペインティングにも応用できそうなテクニックです。
偶然的にできる形や模様を活かそうとすることで、思い通りにはいかないという状況を自分から作り出すことが出来ます。意図していないからこそ、今まで試したことのない表現に挑戦したり、新しい表現を発見したりなど、偶然に生成されたチャンスを、さらなる作品作りに活かしてもらえたらなぁと思います