スタッフの三屋です。
皆さんは、ご家庭のコンセントに極性(プラス、マイナス)があるのをご存じでしょうか。
コンセントをよく見ていただくと、向かって左側の溝の長さが長い方と、右側の短い方とがあることが分かります。屋内配線の接続が正しければ、左側の溝の長さが長い方が接地側(−)、右側が100V側(+)になります。
こんな事は、普段は全く気にされてはいないと思いますが、オーディオにおいては重要になってきます。オーディオ機器自体に極性(音が良くなるコンセントにプラグを差す向き)があるからです。
家庭用の電気は交流なので、本来はプラグを差し込む向きに関係なく電気製品は問題なく動作します。オーディオ機器も動作はしますが、極性を一致させるかどうかで音は大きく変わってきます。
まずは、オーディオ機器の電源を取っている元の壁コンセント及び、電源タップを使用している場合は、電源タップの所で極性が合っているかを調べる必要があります。それには、上の写真の左側の検電ドライバー及び、右側のデジタルテスターがあれば簡単に調べる事が出来ます。検電ドライバーをコンセントの溝に差し込み、光る側がプラス側になります。テスターの場合はACレンジで、テスターの棒の片側を指でツマミ、もう片側をコンセントの溝に差し込み、電圧が高い方がプラスになります。双方共に大型のホームセンターに置いてあることは多いです。
もし壁コンセントの段階で、プラスマイナスが逆になっているようでしたら屋内配線の接続を逆にして正しくした方が、今後の機器の極性管理はしやすくなると思います。
そして、機器側の極性をどのように判別するかですが、上の写真の左側が日本の製品によく見られるアース無しの2Pのもの、右側が海外の製品及び、社外品に多いのアース付きの3Pのプラグになります。ここでは、3Pの大地アースを取っているかどうかは関係なしとします。アースはまた別の問題になってきますので。
まず、機器の電源ケーブルがインレット(脱着)式になっていて3Pのケーブルを使用し、壁コンセント及び電源タップが3Pが挿さるものをお使いであれば、それで極性は一致しますので全く問題ありません。
次に、2Pで極性が表示されているものの場合(プラグのところにマーキングされていたり、ケーブルの片側に白いラインが入っている等)は、大概はマイナス側を表示しているので、そちら側を壁コンセント及び電源タップのマイナス側に差し込んでいただければ、極性は一致します。
次に、2Pで極性が表示されていないものの場合はどうするかですが、ある程度オーディオを嗜んでいらっしゃる方は、テスターでシャーシ電位を測ればいいじゃないかと思われるでしょう。シャーシ電位の測り方は、機器に何も接続していない状態で電源を入れ、テスターをACレンジにして、棒の片方をシャーシのねじのところに当て、もう片側をコンセントのマイナス側に差して、その状態で電圧を読み、次にコンセントにプラグを差す向きを逆にして、電圧を読み電圧が低いときの方が極性が合っているというやり方です。
大概はこのやり方で問題はないのですが、これは何を測っているかといいますと、電源トランスの極性です。電源トランスにはコイルが使われており、この巻線の巻き始め側から100Vが来るのか、巻き終わり側から100Vが来るのかで、シャーシと大地間の電位差が変わるのです。ですから最近のスイッチング電源搭載の機器は、トランスが非常に小さい為、シャーシ電位の差は出ません。でも音の良い極性はあります。
シャーシ電位が低い方が音が良いという事であれば、大地アースを取るとかアースの代わりになる機器を繋ぐのが良いということになりますが、そう単純な話ではありません。海外のメーカーの中には、シャーシ電位が高い方で極性を一致させている(音が良い極性)設計のものもあります。
結論としましては、極性を合わせたときの方が、音場も広く高域も伸び、低域の輪郭もはっきりとするので、合わせることをお勧めします。
元のコンセントの極性が合っていて、3Pの電源ケーブル及び、極性表示のある2Pの電源ケーブルで正しく繋げばそれでメーカーの意図する極性になります。
それ以外は聴感で決めてもいいと思います。極性が合っていないときは、なんとなく高域が歪みっぽくザラついて伸び切らず、低域も膨らんで形が出にくくなります。
この電源の極性を合わせるというのは、オーディオチューニングの基本になりますし、コストもかからないので是非、皆さんもやってみて下さい。