
6月24日は旧暦の5月5日で、午後から今帰仁に行きハーウガミを行った。沖縄では井戸や泉をカー(今帰仁ではハー)と呼ぶ。カーウガミ(ハーウガミ)は、祖先がかつて使っていた井戸や泉を拝む行事である。
私の父方の祖父はもともと今帰仁のキシムトゥ(岸本)出身で、ハーウガミはゥプンジャーガーラ(大井川)沿いにあるヤナジガーで行っている。岸本の人たちが使っていたハーで、今は水は枯れ、石組みが残っている。御馳走と酒、米を供えて、ウコー(お香)は火をつけずに手を合わせた。


岸本は、今は合併されてタモーシ(玉城)のなかに入っている。岸本のアサギは残っていて、周囲にはいくつか拝所があり、きれいに管理されている。私が子どもの頃だから1960年代までは、祖父の妹たちが神女として白い衣装を着て、神行事を行っていたという。


ヤナジガーから上流に行ったところには、母が生まれた玉城のウイボロ(上原)集落のハーウガミ場所がある。母方の祖父は沖縄戦の前に亡くなったので、写真でしか顔を知らない。ウイボロ集落は戦前は7、8軒ほどしかない小さな集落で、大井川で水を汲んでいたという。今は砂防ダムができてそこまで行けないので、手前でお通しをしている。
私が子どもの頃は、大井川の両岸は護岸工事が行われておらず、玉城まで来ると泳ぐこともできた。今は川遊びをする子どもの姿も見られない。ただ、川沿いの崖の下にはマーニ(クロツグ)やゴーイ(クワズイモ)が茂っていて、自然はまだ豊かだ。
ハーウガミをする人も少なくなった。かつては家族、親戚がそろい、の人たちがたくさん集まったというが、今はお年寄りたちが細々と行っている。水が湧くハーは集落にとって命の源だった。ハーを拝むのは最も古い祈りの形だろう。そこは祖先とのつながりを確認できる場所でもある。大切にしたい行事である。