「飽海郡誌 巻之二 第六編 山川」は鳥海山より始まります。
飽海郡誌は明治二十六年より吹浦大物忌神社の宮司となった斎藤美澄の手に成るもので全十巻、復刻版もありますが、今は国会図書館のデジタルコレクションで閲覧することが出来ます。(地元の図書館にもありますが貸し出しは禁止、閲覧は可ですがウチでゆっくり見るわけにはいきません。)貴重な図版もいっぱい載っており見ごたえがあります。いつもの作業で読みやすくしてみましょう。
第六編 山 川
鳥 海 山 秋田縣山利郡二跨リ海面ヲ拔ク七千三百五十五尺四時雪ヲ頂キ我力國第三ノ高山ニシテ實 ニ東北ノ岱宗タリ東蕨岡ヨリ登レハ八里、西吹浦ヨリスレハ九里ニシテ絕頂二達スヘシ一 步ハ一步ヨリ峻シク其頂ハ三伏ノ夏日綿衣ヲ襲ネ尙寒キヲ覺フ神祠アリ卽チ國幣中社羽州一宮大物忌神社ノ本殿ナリ神威赫々四表二洽ク三陸越佐關東ヨリ來リ嶮二攀チ岨ニ縋リ登嶽スルモノ絡繹トシテ絕エス若夫レ氣歛マリ天朗カナルノ日伏シテ之レヲ臨メハ千峰萬巒悉ク萵キヲ失ヒ神靈二向テ羅拜スルカ如クハ其西ハ渺茫タル蒼海天ニ連リ飛島、粟島、佐渡及ヒ男鹿平島ハ呼應ノ閒ニアリ唯々見ル一拈ノ雲烟岫ヨリ出テ倐チニシテ谷二亙リ峰ヲ覆ヒ油然トシテ雨トナリ風伯之ヲ扇レハ水逆マニ注キ雷霆脚下二殷々タリ旣 ニシテ雲收マリ氣散スレハ滿目灑然拭フカ如ク淑氣骨二透リ座ロニ羽化登仙ノ思ヲナサシ厶變幻萬態固ヨリ筆紙ノ盡スヘキ所ニアラサルナリ水府ノ儒臣長保赤水登臨ノロ占アリ
鳥海山高北海頭 海雲山樹望悠々 不知何日大鵬翼 化作名山鎭羽州
名稱
古へ飽海嶽卜稱ス大物忌神社ノ一名ヲ飽海神社卜稱ス (羽黑山在廳年代記三才圖繪ニ依ル事吹浦口ノ宮ノ下ニ詳カナリ)
是レ其山上二座シマセシヲ以テナリ
漢詩調になっているところは無理に返り点をつけて読まなくともそのまま読むことをお勧めします。それが漢文を読むには一番いいと思います。英語だってそうですよ、I have、というだけで脳内で翻訳せずにそのまま感ずればよろしい、と無学な私は思います。
()書きになっているところは原文割注です、WEB上では割注出来ないようなので。
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