鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

山頂でオンザロック

2019年08月17日 | 鳥海山
画像はイメージです。本編の内容を保証するものではありません。

その頃、鳥海山の好きなおじさん連中が休みの都合が合えば一緒に山で宴会をした。メンバーの条件は嘘をつかないこと、ケチでないこと、山で飲むお酒が好きなこと。怪しいおじさんと名付けた。
数名のメンバーがいたが、今はみんなあの世の山へ登りに行ったきり帰ってこない。
われわれの間で山といえば鳥海山を指す。山に行くといえば、鳥海山以外の山ではない。また、秋田の知り合いの女性は鳥海山とは言わず「お山」と呼んでいた。

そんなおじさんたちは、夏の暑いとき、山へ行くと決まれば二、三日前から冷凍庫に水を入れた1.5ℓのペットボトルを2本凍らせておく。
他に500㎖のペットボトルも凍らせておく。これはクーラーボックスに缶ビールと一緒に入れておく。暑い日差しの下、ギンギンに冷えたビールを山中で味わえる。
大きいペットボトルはタオルでくるみ、さらに適当な袋に入れる。
いくら重くても我慢、我慢。
みんなで役割分担して楽しみの元を持っていく。
ビールはもちろん、ウイスキー、何十年か前は若かったお嬢さんがメンバーに参加すればデザートを用意。これもヨーグルトに薔薇の花のジャム。もちろん十分に冷えたものをいただくことが出来る。
大きいペットボトルは丁度よく溶けるので途中、喉を潤すには最適だ。鳥海山はほとんどのコース水場が無いので水は必要以上に持参する。

さて山頂についたらおもむろにガラスのロックグラスを取り出し、ペットボトルを切り裂いて氷を割る。グラスに氷を入れ、これ見よがしに高々と掲げ乾杯する。外輪を眺めながら

 兩人對酌山花開  
 一杯一杯復一杯 
※注 両人対酌すれば山花開く一杯一杯復一杯 などと読まずに
リャンレントゥイトー、シャンホワカイ
イーペイイーペイ、プーイーペイ
と読みたいですね。ほんとはもっとうまい記述方法があるのでしょうけれど。

通りかかった登山者は驚きの表情をして過ぎて行く。

 我醉欲眠卿且去 

そんな夏もあっという間に終わろうとしている。

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