福音書は多様なキリスト教集団が問答集や宣教文書として保持していた代物で20種類以上が知られている。 "史実"を記録した書物とは言い難く、熟読すると各派の言いたいようにイエスの口が操られているのが判る。異なるイエスの家系図を書いた2つのグループの福音書を比較してみよう。 ■聖書が完璧ではないわけ(聖書が人間の書物であるわけ) - 三十番地キリスト教会
『ルカ』のイエスの血統はアダムまで遡る壮大な系図だ。旧約聖書に通じた集団を相手にした『マタイ』とは違い、アダムやアブラハムを知らない異邦人にもイエスが広く人類の救世主である事を周知しているように見える。(もっとも処女懐胎のためナンセンスな連結だが…) 「このアダムは神の子である」(ルカ3:38) 旧約の引用が『ルカ』より正確な『マタイ』はアブラハム→ダビデ→バビロン移住→キリストが各14世代で移行したと主張する。つまり旧約の神の計画によってキリストが誕生したその正統性を(ユダヤ教徒にまで)誇示しているようだ。 ところが、最後の区間は13世代しかいない。また旧約聖書をお持ちならこの系譜の偽善的な操作を確認できる。 ヨラム-ヨタム間(ヨラム-ウジヤ-ヨタム)は『歴代誌I』3章では6代(ヨラム-アハズヤ-ヨアシュ-アマツヤ-アザルヤ-ヨタム)だ。(ウジヤ=アザルヤ(参照:歴代誌II26:1)) エコンヤの父も本来の「エホヤキム」を削除して、計18代の系図を意図的に4代カットしているのだ。 両者共旧約の人物ゼルバベル(BC597~)を経由している。ゼルバベルはバビロン捕囚解放後ペルシャ王キュロスの資金援助で第二神殿を再建(BC515)した功労者だが、『マタイ』がイエスまでの約600年を11代で繋いでいるのはいかにも苦しい。ここは20代を挟んだ『ルカ』の方が妥当性があるだろう。『マタイ』は14に拘るあまりここでも自滅しているように見える。 信じやすい異教徒のためのゴスペル 福音書は彼らの教祖を信じさせたい信者が様々な工夫を凝らした宣伝文書であって、真実を告げる歴史の派生物とは解釈し難い。 家系図に相違が多過ぎるため「『ルカ』の方はマリアの系図です」と言い繕う人も稀にいる。しかしシャルティエル・ゼルバベル親子を通した時点で少なくとも片方は間違いでどちらも殆ど信憑性がない事は否定できなくなるだろう。 不遜と過信の果てに人間をはたき殺し「良く読んだら人間の文書でした」では済まされない。自分の信じているモノに責任くらい持つべきではなかろうか? 画像出典: |
最新の画像[もっと見る]
- ワクチン打つほど感染体質? 2年前
- ワクチン打つほど感染体質? 2年前
- いつ凱旋門賞を勝てるのか 2年前
- いつ凱旋門賞を勝てるのか 2年前
- ネット右翼という現代病 3年前
- ネット右翼という現代病 3年前
- ネット右翼という現代病 3年前
- ネット右翼という現代病 3年前
- ネット右翼という現代病 3年前
- ネット右翼という現代病 3年前
福音書は元々「神話的物語」として著されたと考えれば自然なのでしょうね。マルコを読んで、もうちょっとハクを付けないと、と考えてボロを出してしまったというところです。実際、系図が無ければ福音書は多少なりともマトモな歴史書と見えたはずです。
Jesus I Will Survive
http://www.youtube.com/watch?v=WLKk00OYKhU
上記教会HPにある「ヨセフとマリアの元に生まれ死もまたヨセフとマリアに看取られる、美しい文芸作」という解釈はお見事。歴史的事実だと捉えない頭の正常な教会もあるものだと驚きました。解釈法を変えれば正しい評価もできるし作為の多いマタイなどは笑いのネタとしても楽しめます。
>▼明らかに文学として読むべき技巧が発見できる例
>ここでも、イエスは布にくるまれて、石の上に寝かされています。
>このように、福音書のイエスの生涯の始まりの部分と、終わりの部分に、対応性をもたせていることが読み取れますので、わたしたちはこの物語は美しく鑑賞することができます。
>しかし、そのぶん、事実の記録という面は薄れてしまうと言わざるを得ないのです。
欧州人が日本の教会を見ると「カルト臭い」と思う事があるというので日本の信者も同類項かもしれません。
少し調べれば聖書原理主義(聖書は一字一句完全である)が成り立たない事は露見するのにキリスト教は治らない精神疾患の1種ですね。
むしろこの聖書もキリスト教も人為のガラクタだという認識が広まれば、キリスト教も生存を許された世界の一セクトに帰れると思います。"唯一の実在神"を謳う聖書主義が世界を荒らし回った近代の不幸な病理だったので。
まあそういう牧師がいるのもいいかもしれませんね。
西洋人にはそういう架空でお馬鹿な宗教が性分に合うのだし、実在した神なんてたわけた物に倒錯するのはいかにも不似合いだった。聖書と米国人も案外、水と油ではないですかね。イカサマの書だと理解したら持ち主に返却すればいいんですよ。
http://www.gotquestions.org/Japanese/Japanese-Jesus-genealogies.html