たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

モノがソウルを生む <加山雄三さん「相棒いなくなりつらい」…光進丸>を読みTVニュースを見ながら

2018-04-03 | 人間力

180403 モノがソウルを生む <加山雄三さん「相棒いなくなりつらい」…光進丸>を読みTVニュースを見ながら

 

毎日通る柿畑、私にはすてきな田園風景です。いま、ちっちゃな芽から輝くような青葉があちこちから飛び出していて、焦げ茶や象牙色の柿の木肌にちょっとした色合いと活気を感じさせてくれます。少し目を遠くに向けると高野を含む連峰が右は紀ノ川にそびえるように、左は遠くまで連山が続きます。この眺めがとてもうれしく感じさせてくれます。

 

ところで、加山雄三さんの光進丸が火災でほぼ全焼になったニュースはなんども流れていました。加山さんも普段はあまりモノにこだわらない方ではないかと思います。でも光進丸はモノ以上の存在だったのでしょう。それだけ光進丸との付き合いは彼にとって心からつきあえるモノだったのでしょうね。いや、光進丸に乗船させてもらった人、いや乗船したことがなくても乗船した人の話を聞くだけでも、いや加山さんの魅了そのものの重要な一つだったのかもしれません。

 

私にとって加山さんは、あこがれの若大将で、遠くから見上げる存在でしたが、加山さんとお会いしたこともないので、光進丸の魅力は私にはぴんときませんが、でも加山さんが光進丸の火災事故での会見で、涙ぐむ姿は痛々しく見えました。いつも朗らかな彼、大変な借財や事故で危機的な負傷を受けたときも、不死鳥のごとく元気な姿を見せていましたね。映画の若大将以上に、素晴らしい精神力だと思いました。

 

その加山さんがあれほど落ち込むとは・・・むろんこの火災で多方面に迷惑をかけること、油汚染の拡大も海の男であれば強い懸念があるでしょう。でもあの表情は光進丸という存在を失ったためでしょうね。

 

私はこれまでいろいろモノを失ってきましたが、それはたいしたことではありませんでした。それほど愛着がないといえばそれまでですが。車を好きな人はとても大事にしますね。ペットもそうですね。それを失ったら大きなショックを受けるでしょうね。ペットはモノではありませんが、モノも場合によって生き物以上の存在になるのではと思うのです。

 

私は車や家を失ったり、貴重な書籍や資料を失っても、少しはショックを感じるかもしれませんが、それらはたいしたものではないように思うのです。

 

加山さんにとっての光進丸は、彼が「相棒」というほど、とても近しい関係にあったのでしょう。そのようなモノを育て生かしたのは、また生かされてきたのは、加山さんならばこそできたことなのでしょう。

 

私はまだ加山さんの年には遠く及びませんが、60代後半になる今、そのようなモノとの付き合いができなかった未熟さを感じています。私の知人で、ヨットをもっていて、何度か宿泊とかセーリングに参加させてもらいましたが、ヨットマンはそういう一面を持っているのかもしれません。海で生活をしていると、一体となり、たとえば相模灘くらいの狭いところでも、四方がすべて海以外に見えない世界に入れるのですから、ヨットは自分と一体になりやすいのかもしれません。

 

でもそういうことなら、カヤックの方がより一体感があり、生死をともにするといった面持ちになります。でもたいていのカヌーイストはカヤックやカヌーにそこまでの愛着を感じるのでしょうかね。それは多くの友人知人と苦楽をともにできる場を提供してくれる、しかも加山さんの場合自分で設計製作したというのですから、豪華さも含め、思い入れが強いのでしょう。

 

それでも説明がつかないのかなと思います。それは加山さん自身の人生観につながるものが光進丸にあるのかもしれません。加山さんという人を書物とかで知っている程度ですが、きっと奥さんやお子さんとの関係でも、それぞれの自由な人格を大切にされるのだと思うのです。唯一自分の自由な生き方とつきあってくれるのが光進丸だったのではないかと思うのです。とりわけ苦しいとき辛いとき、家族や友人に話すことも一つですが、彼にとっては光進丸の舵を握って大海原にでることで、あるいは嵐の中を敢然と進むことで、乗り切ったことが少なくなかったのではないかと思うのです。だからこと人生の相棒だったのではと勝手に推測します。

 

相棒はいればいいのですが、私には相棒になるモノがありません。といって家族はそれぞれ尊重しても、相棒にはなれないと思っています。

 

加山さんはこの痛手をどうやって乗り切るのでしょうか。彼の強靱な精神力は新たな光進丸を作るのでしょうか、いや、別の道を歩むのでしょうか、私にとっては永遠の若大将であり、今後の動向を期待して観ていきたいと思います。

 

ところで、光進丸には火災時誰も人が乗っていなかったような状況に見えるのですが、火災原因が何か気になりますね。

 

見出しの読売記事<加山雄三さん「相棒いなくなりつらい」…光進丸>では<下田署は、船内に設置されたエアコンから出火した可能性があるとみて、出火原因を調べる。>とのこと。たしかTVニュースでは、数日前に船内を点検したとか。

 

長さ25mもある大型クルーザーですから、いろいろな装置もあり、エアコンも含め複雑なのでしょうね。82年に進水式ということですから、製造から少なくとも35年以上経過ですか。むろんエアコンの寿命はもちろん、豪華船ですから、この間に一度ならず買い換えているのでしょうね。その場合その他の設備もいろいろ更新されたりして、電気系統は相当複雑になっていたことが予想できますね。

 

そういった複雑な設備系統の点検も簡単でないのかもしれません。放火の可能性は少ないように見えますので、劣化の見落としなのでしょうか、火災の原因調査も気になります。簡単に判断できないおそれもあるような気がしています。

 

加山さんにとって愛着のある光進丸ですが、あれだけ巨大なモノですから、忙しい彼がどこまで様々な専門スタッフに指示、依頼できていたかも気になります。

 

あれこれ推測するよりは、原因調査結果を待ちたいと思います。加山さんにとっても、相棒を失った原因はしっかりと把握したいでしょうから。

 

それと油汚染の拡大がないよう、対処してもらいたいと思います。エクソンバルディーズ号やナホトカ号のような超大規模油汚染と違うので、しっかり対応すれば、あまり問題にはならないように思うのです。

 

そろそろ一時間となりました。今日はこの辺でおしまい。また明日。