昔習った算数の集合でいえば、ふたつの円の重なる所が圧倒的に少ない夫婦である。お互いに「よ~わからんわ」「ていうか、謎やね」といいつつ、ほとんどけんかすることもなく暮らしている。
お互いに「違う人」と認識しているので、理解を求めたり好みを強要したり同感してほしがったりする必要がない。とてもラクチンなのだ。
それでも本屋さんがかなり好きで、図書館のヘビーユーザーという点は共通している。もしかしたらこの一点さえ押さえれば、共通の話題に事欠かないのかもしれない。もっとも内容はほとんどかぶらないけれど。しいてあげれば東海林さだお氏と橋本治氏だが、これは結婚後、私が彼の蔵書より勧められて読んだので、「かぶった」というより、「敵陣へ侵入」もしくは「吸収合併」という形かもしれない。
Kちゃんがお腹にいた間ずっと私は「橋本治フィーバー」だった。以前の担任の先生(ベテランの男性)がKちゃんを指し「まるでお姑さんのよう・・・」とおっしゃったくらい彼女が「しっかりもののオトナ」なのは、そんな橋本胎教のせいかも?
最近の夫婦共通のブームは、珍しく世間と足並みを揃え古本屋さん。織田信長が昔住んでいた安土町に、ちょっと広い店舗の古本屋さんがある。元気で上品なおばあちゃんが一人で店番をし、単行本なら本に付いた定価の半額で売っている。いかにも廃品回収や可燃ゴミの日に括られていたような、一昔前(昭和40年代頃?)の本が並んでいて、棚を見ているだけで子どもの頃の本屋さんの品揃えを思い出す。
いつものように、古本屋のおばあちゃんと仲良くなった夫は、特別に未整理の奥の(秘密?)部屋まで見せてもらえ、私が探していた早川SF文庫の光瀬龍の数冊を発見し捕獲した。今日も私が仕事をしていたら、携帯が鳴り「今、安土の古本屋にいるんやけど、なんか探してるのなかったっけ?」と、わざわざ訊いてくれた。
タケノコ掘りや釣りやカブトムシの捕獲が好きな夫は、古本屋というフィールドでも、「狩猟民族」の血が騒ぐようだ。射手座だし。
山や海では血が騒がない私も、古本屋のフィールドに関してはシンクロする部分がかなりある。二人で「本日の獲物」を開陳するときが、どきどき盛り上がる夫婦の快楽の一瞬である。
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