今回、私が球審を行っていた時の話です。
大事な大会の準決勝での事。回は終盤で、1点を争う攻防です。
Aチームが先攻、Bチームは後攻でBチームが辛うじて2点勝っています。
Aチームは超強豪チームで毎年決勝にいる常連チームです。
しかし今日に限り、打撃も野手正面を突いたり、有り得ないミスをしたりと、見ている方も?の感じでした。
そして、ついに最終回に。
Aチームの攻撃。打った打球はサードゴロ、サードが捕球してファーストへ送られアウトになってしまいました。
その時のバッターランナーは、1塁へヘッドスライディングをしておりました。
一応、大会規定では「1塁へのヘッドスライディングは禁止」ですので、選手へは
「あぶないから、ヘッドスライディングは駄目だよ。」と注意しました。
大会によっては「一塁へのヘッドスライディングは即アウト」というのもあるようです。
1塁へのヘッドスライディングは「ケガの危険性が高い」という理由で禁止にしています。
しかし、判っていても選手はヘッドスライディングをしてしまうのです。
理由は簡単です。
『絶対にセーフになってやる!』
という気持ちだけです。
何としても塁に出て、ホームに帰ってくる この気持ちだけです。
アウトになった後も、1塁コーチャーボックス付近で顔を下に向けて泣いてました。悔しかったと思います。
私も選手には「ヘッドスライディングは危険だからやならい」と子供たちに言ってます。
今回のこの選手は打った瞬間「アウトになる」と思っていたと思います。
でも、心では判っているけど、身体はまだ諦めていない…そんな精一杯のプレーがヘッドスライディングだとしたら、そのプレーを自分は決して責めることはできません。
だから私も
「あぶないから、ヘッドスライディングは駄目だよ。」
と口では言いながらも、心の中では「ナイスファイト!」と叫んでしまう自分がいました。