教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

超高速手のひら返し フォルクスワーゲン編

2015-10-06 22:25:17 | 経済/経済/社会
今年の春ごろだったか。
当時、フォルクスワーゲンはやたらとマスコミから褒めたたえられていた。

なぜか?

第一に、世界販売台数がトヨタを抜くという話。
第二に、技術、とくにディーゼルと環境技術で先行しているという話。
・・・そんなことを言っていた。

もうちょっと詳しく書こう。



販売台数の件。

トヨタはリーマンショック前の世界的に絶好調だった時期までに、借金を増やして世界中のあちこちに生産設備を増強し、販売台数を急上昇させた。
トヨタがGMを抜いたというニュースが出たのはちょうどその頃である。

ところがどっこいリーマンショックが起き、トヨタであろうと生産調整せざるをえなくなった。
リーマンショック後、トヨタは販売台数を負う戦略にブレーキをかけると明言し、その後の推移を見るにちゃんとそのとおりに推移している。

ではフォルクスワーゲン。
リーマンショック後にも増強しつづけた。
あっという間にトヨタに追いついた。
そして今年中にトヨタを追い抜きそうだという話になった。

しかしマスコミは言った。
「トヨタはフォルクスワーゲンに追い抜かれた」
と。

マスコミはトヨタが停滞したとなじった。
なぜフォルクスワーゲンがすばらしく、なぜトヨタが停滞したか、そんな記事が連発された。
客観的に見ればトヨタはふつうに好調なのだが、なぜかトヨタは敗北しつつある会社だということになっており、それは日本の構造的な欠陥の代表例だとでもいう感じで書かれている記事もたくさん見てきた。

しかし!

今はどうだ!?

「販売台数でトヨタに勝つことに固執したフォルクスワーゲンは金の亡者で大悪党だ! トヨタは保守的ですばらしい!」

なんなのさこれはwww

実は案外ほとんどの人が指摘していないのだが、フォルクスワーゲンがトヨタに勝つために取ったリスクのうち、当事者だったら吐きそうになるくらいヤバいものが1つある。

それは何だと思う?

チャイナリスクである。

トヨタはとても保守的な会社である。
だから中国と心中する気はさらさらなく、中国がくたばったり日中で紛争になったりしても会社がくたばらないような程度にチャイナリスクを控えてある。
その裏返しとして、トヨタは中国でのシェアは低い。

対してフォルクスワーゲン。
こいつはドイツの会社のはずなのだが、販売台数の半分は中国である。
このことは案外知られていない。

いま中国がおかしいのは常識であろう。
中国の自動車販売台数はすでにマイナスになっている。
フォルクスワーゲンは中国と心中する気でチャイナリスクを取って販売台数を増やしたのだが、さてこれからが楽しみだ。



ディーゼルと環境技術の件。

トヨタのワールドワイドでの評判がどうなのかは知らんのだが、少なくともハイブリッド車の技術で先行しているのは間違いなかろう。
その後ろに追従しているのはホンダだけで、それ以外はバックミラーでは点にしか見えないほど離れている。
フォルクスワーゲンにしたって同じだ。

しかしマスコミは言った。
「ハイブリッド車が売れるのは日本だけだ。ヨーロッパをはじめとして世界ではディーゼルエンジンの時代だ。ハイブリッドに注力するトヨタの環境技術はガラパゴスで時代遅れになる! それにひきかえ素晴らしいのはクリーンディーゼルのドイツ、特にフォルクスワーゲンだ!」
と。

いまにしてみれば笑うところだが、当時はそういうコピペ記事がいくらでもあった。

ではドイツ車に積まれているというクリーンディーゼルは何が素晴らしいのか?

とくにドイツ車のクリーンディーゼルをほめちぎる程度がひどいものであればあるほど、どうすごいのかという技術的な話題は何も書いていない。
こいつはドイツ製だからすごいはずだという時代遅れの舶来信仰が根拠なんだろかと思うほどの記事が多かった。

ようするにまあ、あれだ。
「ドイツの科学力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィイイイイ」
というのがアタマのなかでサブリミナル的に効いているヤツが書いた記事だ。

なので当時調べてみたことがあったんだが。

どうにも些末な違いしか出てこないのだよ。

「うーん・・・ 何がすごいんだかよくわからん・・・」
というので当時調査を打ち切った。

しかし!

今はどうだ!?

「ハイブリッドで遥か後塵を期しているヨーロッパ勢はディーゼルに賭けるしかなくなっていて、既に半分窮地に落ちかけている。トヨタの環境技術はすばらしい!」

なんなのさこれはwww

まあ、唯一フォルクスワーゲンを褒める記事に妥当なやつを見たことがある。
それは、フォルクスワーゲンの推進するモジュラーデザインについてのものだ。

すり合わせ技術のかたまりと考えられている自動車の設計においてモジュールの共通化を高いレベルで実現し、カンタンに派生車種を投入できるようにする。
それは本当にトヨタより優れているかもしれないとは思った。
だいいちフォルクスワーゲンがそういう概念を公開したとき、トヨタや日産も追従して似たようなことを言い始めた。
それを見たときはトヨタや日産のモジュラーデザイン化の遅れに懸念がよぎったものだ。

だがそれだけだ。

ドイツ車のクリーンディーゼルの何がすごいのかをいくら調べてもわからなくてそれが正しかったのだ。



このようにマスコミのフォルクスワーゲンに対する超高速手のひら返しを見ていると、マスコミの言うことなんて鵜呑みにするに値しないことが実によくわかるものだ。