教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

【ハイボクヲ】食い放題、串揚げ屋さん編【シリタイ】

2018-12-23 00:08:55 | 経済/経済/社会
串揚げ屋さんに行ってきた。
食い放題である。
1人で。

なぜか?

この歳になると、食い放題にいっしょに行ってくれるヤツがいねえ。

あるヤツは病気による食事制限を気にし、
あるヤツは年齢による食の細さを気にし、
あるヤツはカロリーとウエストを気にし、
あるヤツは嫁の顔色を気にし、
あるヤツは世間体を気にする。

食い放題とはスポーツである。
多くの者はその過酷な戦場に立つこともできなくなっているのだ。

では本題へ入ろう。






串揚げ屋さん。

好きなタレと好きな具材をセルフでとってきて、
テーブルでセルフで揚げて、
しかるのちに食べる。

言うは易い。
だが満足ゆくまでそれを行うのは難し。



食い放題とはスポーツである。
この場合、たとえばだが、周りの席にいるパーティーより多く食べて帰れるかどうかというのも1つの競技のしかたであろう。

ふだんならば、この串揚げ屋さん、周りの席にいる「人」ではなく「パーティー全員」よりも我輩1人が食べる量が多いというくらい食べて帰る。

夫婦子供2人の家族連れならば余裕だ。
ウエスト100cmオーバーの20代女性4人パーティーという食い放題アスリートチームが隣のボックスに来た際にはさすがに負けたが、それでも1人あたりでは負けた気はしない。

では今日はどうか?

右隣。
男子高校生2名。

左隣。
大学生くらいか、やせっぽちのイケメンと美女のカップル。

「左は余裕だな。右は戦闘力高いかもしれん」

そう思った。
だがそれは間違いだったのだ。






席に案内される。
戦闘開始。

まずタレを取りに行く。

右隣。
ふつうか。

左隣。
タレをカップになみなみと汲んである。

「そんな使い切らんだろ。シロウトさんかな。まあこいつらデートなんだろうし、そんなもんか」

このとき我輩はまだ異変に気がついていなかった。






食い物をとってくる。
我輩、ふだんのペースなら100本超は確実なので、まず肉ばっかりトレイがっつり山盛りにして取って帰る。

右隣の男子高校生。
1本だけ取って帰った。

「そんな食いかたでは腹より時間のほうが先にくるぞ。シロウトさんかな」

もはや我輩と比較する必要すらなさそうだ。

さて左隣のカップル。

かたわれのご婦人。
豚肉だけトレイがっつり山盛りにして取って帰っていった。

「フシギな食いかたをするヤツだな」

そう思って席にもどったが。
その意味がそこで明らかになった。

大学生カップル、6皿。
うち1皿が豚肉だけの山盛り。

「なん…… だと……」

我輩2人パーティーであれば食いきれる量だが、ふつうの人間には食いきらん量だぞ。

まあ人のことはいい。
食い放題とは他の多くのスポーツと同様に時間との闘いでもある。
そんなものは一瞥のみにとどめ、我輩も揚げて食うほうへ着手した。






串揚げ。
揚げて、油を落として、しかるのち食べる。

揚げて油を落としている分だけディレイが発生する。
そのディレイ分だけ先に揚げ物を投入しなければ大きなロスが生じるが、
しかし投入しすぎれば揚げすぎになってしまい、美味しくなくなる。

空腹時の我輩のペースであれば、同時投入は8~10本が最適で、ある程度腹にたまってきたらペースを落とすのがいつものやりかただ。
そしていつのものように流れ作業でひたすら揚げて揚げて揚げて食べて食べて食べまくった。

ふと左隣を見る。

ご婦人のほう、揚げおわって油を落としている串が20本ほど。

「なにぃ……? まさか……揚げるのが楽しいだけで食べてないのか……?」

そんなことはなかった。
山盛りの具材の減りは我輩より速かった。
食い終わった串の本数も我輩より多かった。

なお、男のほうは、もう満腹に近いのか、串には手をつけずにスマホで遊びだした。

「そのペースで食ったのか……? しかも女のほうが……?」

いまだかつてこの串揚げ屋で遭遇したことのないほどの強靭なアスリートが現れたとようやく気がついた。

我輩、ひたすら揚げて揚げて揚げて食べて食べて食べまくった。
130本くらい食っただろうか。

しかし、このご婦人の食った串の山には追いつけなかった。
殿方のほうはご婦人の半分よりはるかに満たない。






「もう油ものは食えん」

ここからが第二ラウンドである。
食い放題で戦う者にとって、デザート用の別腹を保有している者は強い。

しかしいかんせんお腹いっぱい。
ソフトクリームやケーキなどは何個かづつくらいしか入らず。

まあこれは作戦でもある。
いかな別腹でも甘すぎるものは入る余地が少ない。
イチゴフェアだったこともあり、残りはひたすらひたすら半冷凍のイチゴばかり数十個食べた。

「もう食えん。余は満足じゃ」

のこり時間10分あまりとなったとき、我輩の腹のほうが限界に達した。
こんだけ食えれば食い放題へ行ったかいがあるというものだ。

ふと横を見る。
時間からいって双方ともデザート用のペース配分だ。

右隣。
串を1本づつ揚げて食べていたせいか、ロクに食べられてすらいなかった。
そういう戦い方ならそんなもんだろう。

左隣。
そこで見たものは想定をはるかに超えていた。

「食後のデザートに焼きそば大盛りだと……?」

すいません、まいりました。
なお殿方のほうは、あいかわらずスマホで遊んでいた。



これまで我輩は、周りの席にいる「人」ではなく「パーティー全員」よりも我輩1人が食べる量が多ければ勝ちというくらいの感覚だった。
しかしここへきて、とんでもないヤツとバッティングした。
とても食い放題を専門とするアスリートには見えないようなやせっぽちのウエストをしていながらにして、たった1人で我輩を完敗してみせたのだ。

しかしすがすがしい。
みずからより優れたアスリートの生きざまを垣間見れただけでも気分は良いものだ。