高尾山系の登山道脇で見られる「ツルギキョウ(蔓桔梗)」。キキョウ科ツルニンジン属(ツルギキョウ属)のつる性多年草で関東地方以西の山野に生育している。8~10月に直径1.5センチほどの下向きの花を咲かせ果実は晩秋に稔る。同属のツルニンジンやバアソブが蒴果になるのに対して本種は液果になる。多年草なので毎年同じ場所で見られるがつる性のためにその伸び方は周りの草木の状況により毎年異なる。道端の見易いところに伸びることもあるし時には登山道から隠れるように伸びて見逃すこともある。これまで"1号路”、"3号路”、"蛇滝道”などで見ていたが、この日は"びわ滝コース”で見たので記録のために撮っておいた。
高尾山のびわ滝付近で見られる「イワタバコ(岩煙草)」。イワタバコ科イワタバコ属の多年草で福島県以南の湿った岩場などに生育している。6~8月に直径1.5センチほどの星形の花を咲かせる。果実は蒴果で長さ1~1.5センチの披針形。熟すと縦に裂開して長さ0.5ミリほどの小さな種子を零す。果実は種子を出した後、真冬でも残っている。
キク科ハハコグサ属の「アキノハハコグサ(秋の母子草)」。陽当たりの良い山野のやや乾いた場所に生育する一年草で草丈は40~60センチで9~10月に茎の先端に淡黄色の頭花を多数咲かせる。果実は冠毛のある痩果の集合果になる。冠毛は2~3ミリで痩果はわずか0.5~0.6ミリ。
下柚木の林縁に生えている「タイアザミ(大薊)」。関東地方の山野に分布する多年草で草丈は1~1.5メートル。葉身は10~20センチで羽状に深裂し裂片の先端は鋭いトゲ状になる。花期は9~11月で茎の上部にやや下向きや横向きの頭花を多数付ける。総苞には粘り気は無い。
長沼公園"野猿の尾根道”に生育している「ハダカホオズキ(裸酸漿)」。ナス科ハダカホオズキ属の多年草で8~9月に直径1センチほどの淡黄色の下向きの花を咲かせ果実は晩秋に赤く熟す。同じナス科のホオズキは花後に萼片が成長して果実を覆うのに対して、本種は萼片が成長せず液果がむき出しになることから名付けられている。果実の中に長さ2ミリほどの種子が多数入っている。
"よこやまの道”の朽ち木に発生している「ハナビラニカワタケ(花弁膠茸)」。シロキクラゲ科シロキクラゲキクラゲ属のキノコで春~秋に広葉樹の倒木などで見られる。全体は花びら状の裂片が八重咲きの花のように見える。直径は10センチほどで全体にゼラチン質でキクラゲのような感触がある。無味無臭でキクラゲのように食用になるようだがこれを食べる勇気はない。
ベンケイソウ科イワレンゲ属の「ツメレンゲ(爪蓮華)」。関東地方以西の陽当たりの良い岩場などに生育する多年草で、発芽してから3年目に花を咲かせその後枯死する。しかし微細な種子が散布されておりその周りには毎年新しい新芽が成長している。写真はおそらく2年目の芽と思われその直径はわずか7~8ミリ。
ヒノキ科(←スギ科)アケボノスギ属の「アケボノスギ(曙杉)」。古来の化石により日本を含む北半球に広く分布しその後絶滅したと考えられていたが、1946年に中国四川省で発見され現存しているのがわかった。樹形が美しく今では各地に植栽されている落葉高木で「メタセコイア(Metasequoia)」と呼ばれるのが一般的。その葉は羽状複葉のように見えるが小さな一片の葉が最小単位の単葉。その単葉が付いている中央の軸は枝になる。植物の葉にはいろいろな形がありトチノキの葉は大きな小葉が5枚集まって1枚の葉になる掌状複葉が葉の最小単位。ホオノキは単葉で1枚1枚が独立した葉になっている。トチノキの大きな5枚の葉とホオノキの1枚の葉とアケボノスギの小さな1片が同じ単位になる。
少し専門的になるが、葉や花や枝は葉に付くことはなく枝に付く。写真の上部中央の横向きの軸(羽状の芯の部分)に葉が付いており更に途中から枝分かれしている。つまりこの軸は枝であることがわかる。アケボノスギが落葉する時はこの羽状のまま落ちるが、こだわった言い方をするとこれは“落葉”ではなく“落枝”となる。
ベンケイソウ科イワレンゲ属の「ツメレンゲ(爪蓮華)」。乾燥した岩場などに生育する多肉植物。種子が発芽してから開花するまで3年程度掛かる。開花した株は果実を稔らせるとその後は枯死する一稔性の多年草。しかし株の周りには常に新芽が成長して密生しているので、同じ株が生き延びているようにも見える。写真は枯死した株でその横には2~3年目と思われる株が成長している。