小学校で、時計技術国で、永世中立国のスイスのことを教えられた。
日本もそうなったらいいのにと、子供心に想っていた。
ところが今、スイスの実態を知ってみると・・・
長文なので、赤文字だけでも読んでください。
4月20日の「スイス= 」も読んでね。
スイス連邦憲法
概説
スイス初の連邦憲法は、スイスを二分した市民戦争の後、新秩序樹立のため、1848年に制定されましたが、連邦の集権化等のため、1874年に全面改正され、その後、度重なる部分改正による憲法の体系性の喪失等を是正するため、長期にわたり全面改正が検討され、1999年国民投票を経て承認され、2000年から施行され、今日に至っています。
なお、スイスは、国民提案等により、後述するように憲法の改正が比較的に簡単に出来る国で、過去140回以上にわたる改正が行われているとのことであります。
現行のスイス連邦憲法(1999年)は、6編197条から成る、西ヨーロッパやアメリカ合衆国憲法と同系列の憲法であり、自由主義的・民主的・社会法治国家的・連邦主義的性格を有する憲法といわれており、その主な特徴を列記すると、次の通りであります。
1 スイス連邦は、26のカントンから成る連邦国家であり、各カントンは、連邦法の範囲内で、憲法を有し、連邦に委譲されていないすべての権利を行使でき(第3条)、連邦法の執行が可能な限りカントンに委ねられており(第46条)、これは「執行連邦制」ともいわれております。
2 スイスでは、内閣が議会に従属する「議会統治制」がとられており、内閣に当たる「連邦参事会」(対等の7人のメンバーで構成される。)は、下院と上院の二院から構成される「連邦議会」によって選任され、同輩中の主席に過ぎない「連邦大統領」は、輪番で連邦議会によって1年の任期で選任されることとなっております(第5編 連邦官庁)。
3 10万人の有権者の憲法の全面改正や部分改正のための発案が認められており、この発案について国民投票に付すこと等が詳細に認められており(第4編 138条、139条等)、第6編においては、憲法改正について、一章を設け、特別に規定しています。(第192條~第125条。この条項については、本文において後掲します。)
4 第2編において、「国民の基本権、市民権及び社会目標」と題し、3章を設けて、第7条~第41条までにわたり、基本権等について詳細に規定しておりますがが、内容は省略させて頂きます。
本稿の主たる目的であります国の安全保障・防衛の分野で、特筆する必要がありますのは、スイスは、永世中立国であると言う点です。
スイスが、永世中立国として、国際会議において、正式に認められたのは、フランス革命とナポレオン戦争終結後のヨーロッパの秩序の再建と領土分割等を目的として開催されたウイーン会議で、1815年でした。
永世中立国というのは、「自ら戦争を開始せず、多国間の戦争にも参加しない。」ことを宣言し、他国が、国際会議等で正式に承認した場合、認められることとなっています。
永世中立国を維持するということは、簡単では有りません。
永世中立国は、隣国や親しい国が戦争をはじめ、援助を求めてきても、断らなければなりません。
他国が自国を通って相手国に攻め込もうとしても、勿論、通すわけにはいきませんし、自力で、これを防がねばなりません。
従って、スイスが国の独立と国民の安全を維持していくためには、武装中立政策を取る他なく、連邦憲法第3編において、外交、安全保障、国防、民間防衛等について詳細に規定しておりますので、これ等の条項等を中心に、以下において紹介いたします。
なお、スイスは、永世中立国の立場を堅持し、国際連合に加盟しませんでしたがたが、21世紀に入り、各分野での国際協力の進展を背景に、憲法に基づく国民のイニシアティブとして、国際連合への加盟が提案され、2002年3月3日、国民投票により採択されました(第197条)。
第2節 安全、国防、民間防衛
第57条(安全保障)
① 連邦及び州は、その権限の範囲内で国の安全及び住民の保護に配する。
② 連邦及び州は、国内的安全の分野において、その施策を調整する。
第58条(軍隊)
① スイスは、軍隊を有する。軍隊は、基本的に民兵制の原則に従って組織される。
② 軍隊は、戦争の防止及び平和の維持に寄与する。軍隊は、国及び住民を防衛する。軍隊は、国内的安全への重大な脅威及びその他の非常事態に対処するため、非軍事官 庁を援助する。法律は、その他の任務を定めることができる。
③ 軍隊の出動は、連邦の権限事項である。非軍事官庁が利用することができる手段が国内的安全への重大な脅威への対処のために不十分である場合には、州は、公共秩序 の維持のために州の部隊をその領域に出動させることができる。
第59条(兵役及び代替役務)
① すべてのスイス人男性は、兵役に従事する義務を負う。
法律は、非軍事的代替役務を定めることができる。
② スイス人女性については、兵役は、任意である。
③ 兵役にも代替役務にも従事しないスイス人男性には、税が課される。当該税は、連邦によって課され、州によって査定され、徴収される。
④ 連邦は、所得の損失に対する適正な補償について定める。
⑤ 兵役又は代替役務への従事の際に健康被害を被った者又は生命を失った者は、自ら又は親族に対し、連邦による適正な扶助を要求する権利を有する。
第60条(軍隊の組織、教練及び装備 )
① 軍事に関する立法並びに軍隊の組織、教練及び装備は、連邦の権限事項である。
② 州は、連邦法の範囲内で、州の部隊の編成、当該部隊の将校の任命及び昇進並びに制服及び装備の一部の供給について管轄する。
③ 連邦は、州の軍事施設を適正な補償の下に取得することができる。
第61条(民間防衛)
① 武力紛争の影響に対する人及び財産の民間防衛についての立法は、連邦の権限事項である。
② 連邦は、大災害及び緊急事態における民間防衛の出動について法令を制定する。
③ 連邦は、男性について民間防衛役務が義務的である旨を宣言することができる。女性については、当該役務は、任意である。
④ 連邦は、所得の損失に対する適正な補償について法令を制定する。
⑤ 民間防衛役務への従事の際に健康被害を被った者又は生命を失った者は、本人又は親族について、連邦による適正な扶助を要求する権利を有する。
(元参議院議員 依田智治氏HPより)
日本もそうなったらいいのにと、子供心に想っていた。
ところが今、スイスの実態を知ってみると・・・
長文なので、赤文字だけでも読んでください。
4月20日の「スイス= 」も読んでね。
スイス連邦憲法
概説
スイス初の連邦憲法は、スイスを二分した市民戦争の後、新秩序樹立のため、1848年に制定されましたが、連邦の集権化等のため、1874年に全面改正され、その後、度重なる部分改正による憲法の体系性の喪失等を是正するため、長期にわたり全面改正が検討され、1999年国民投票を経て承認され、2000年から施行され、今日に至っています。
なお、スイスは、国民提案等により、後述するように憲法の改正が比較的に簡単に出来る国で、過去140回以上にわたる改正が行われているとのことであります。
現行のスイス連邦憲法(1999年)は、6編197条から成る、西ヨーロッパやアメリカ合衆国憲法と同系列の憲法であり、自由主義的・民主的・社会法治国家的・連邦主義的性格を有する憲法といわれており、その主な特徴を列記すると、次の通りであります。
1 スイス連邦は、26のカントンから成る連邦国家であり、各カントンは、連邦法の範囲内で、憲法を有し、連邦に委譲されていないすべての権利を行使でき(第3条)、連邦法の執行が可能な限りカントンに委ねられており(第46条)、これは「執行連邦制」ともいわれております。
2 スイスでは、内閣が議会に従属する「議会統治制」がとられており、内閣に当たる「連邦参事会」(対等の7人のメンバーで構成される。)は、下院と上院の二院から構成される「連邦議会」によって選任され、同輩中の主席に過ぎない「連邦大統領」は、輪番で連邦議会によって1年の任期で選任されることとなっております(第5編 連邦官庁)。
3 10万人の有権者の憲法の全面改正や部分改正のための発案が認められており、この発案について国民投票に付すこと等が詳細に認められており(第4編 138条、139条等)、第6編においては、憲法改正について、一章を設け、特別に規定しています。(第192條~第125条。この条項については、本文において後掲します。)
4 第2編において、「国民の基本権、市民権及び社会目標」と題し、3章を設けて、第7条~第41条までにわたり、基本権等について詳細に規定しておりますがが、内容は省略させて頂きます。
本稿の主たる目的であります国の安全保障・防衛の分野で、特筆する必要がありますのは、スイスは、永世中立国であると言う点です。
スイスが、永世中立国として、国際会議において、正式に認められたのは、フランス革命とナポレオン戦争終結後のヨーロッパの秩序の再建と領土分割等を目的として開催されたウイーン会議で、1815年でした。
永世中立国というのは、「自ら戦争を開始せず、多国間の戦争にも参加しない。」ことを宣言し、他国が、国際会議等で正式に承認した場合、認められることとなっています。
永世中立国を維持するということは、簡単では有りません。
永世中立国は、隣国や親しい国が戦争をはじめ、援助を求めてきても、断らなければなりません。
他国が自国を通って相手国に攻め込もうとしても、勿論、通すわけにはいきませんし、自力で、これを防がねばなりません。
従って、スイスが国の独立と国民の安全を維持していくためには、武装中立政策を取る他なく、連邦憲法第3編において、外交、安全保障、国防、民間防衛等について詳細に規定しておりますので、これ等の条項等を中心に、以下において紹介いたします。
なお、スイスは、永世中立国の立場を堅持し、国際連合に加盟しませんでしたがたが、21世紀に入り、各分野での国際協力の進展を背景に、憲法に基づく国民のイニシアティブとして、国際連合への加盟が提案され、2002年3月3日、国民投票により採択されました(第197条)。
第2節 安全、国防、民間防衛
第57条(安全保障)
① 連邦及び州は、その権限の範囲内で国の安全及び住民の保護に配する。
② 連邦及び州は、国内的安全の分野において、その施策を調整する。
第58条(軍隊)
① スイスは、軍隊を有する。軍隊は、基本的に民兵制の原則に従って組織される。
② 軍隊は、戦争の防止及び平和の維持に寄与する。軍隊は、国及び住民を防衛する。軍隊は、国内的安全への重大な脅威及びその他の非常事態に対処するため、非軍事官 庁を援助する。法律は、その他の任務を定めることができる。
③ 軍隊の出動は、連邦の権限事項である。非軍事官庁が利用することができる手段が国内的安全への重大な脅威への対処のために不十分である場合には、州は、公共秩序 の維持のために州の部隊をその領域に出動させることができる。
第59条(兵役及び代替役務)
① すべてのスイス人男性は、兵役に従事する義務を負う。
法律は、非軍事的代替役務を定めることができる。
② スイス人女性については、兵役は、任意である。
③ 兵役にも代替役務にも従事しないスイス人男性には、税が課される。当該税は、連邦によって課され、州によって査定され、徴収される。
④ 連邦は、所得の損失に対する適正な補償について定める。
⑤ 兵役又は代替役務への従事の際に健康被害を被った者又は生命を失った者は、自ら又は親族に対し、連邦による適正な扶助を要求する権利を有する。
第60条(軍隊の組織、教練及び装備 )
① 軍事に関する立法並びに軍隊の組織、教練及び装備は、連邦の権限事項である。
② 州は、連邦法の範囲内で、州の部隊の編成、当該部隊の将校の任命及び昇進並びに制服及び装備の一部の供給について管轄する。
③ 連邦は、州の軍事施設を適正な補償の下に取得することができる。
第61条(民間防衛)
① 武力紛争の影響に対する人及び財産の民間防衛についての立法は、連邦の権限事項である。
② 連邦は、大災害及び緊急事態における民間防衛の出動について法令を制定する。
③ 連邦は、男性について民間防衛役務が義務的である旨を宣言することができる。女性については、当該役務は、任意である。
④ 連邦は、所得の損失に対する適正な補償について法令を制定する。
⑤ 民間防衛役務への従事の際に健康被害を被った者又は生命を失った者は、本人又は親族について、連邦による適正な扶助を要求する権利を有する。
(元参議院議員 依田智治氏HPより)