痛ましい事件だと思う。
あってはならないことだ。
電通の社員で自死を選んだ若い女性のことです。
なんで将来有望な彼女が死ななければならなかったのか?
実は私も、新入社員のころ本当に仕事がキツくて、
帰りの電車の中で涙が止まらない日が続いた。
きっと精神がおかしくなりつつあったんだろうね。
会社には9時ごろまでいて、
キリがないので家に書類を持ち帰って作業した。
納品伝票50枚、毎晩家で作成した。
残業はきちんとつけてなかったけど、
月70時間はあったと思う。
でも、私が救われたことはいっぱいある。
まず金曜日はどんなに遅くなっても誰かと飲んで憂さを晴らした。
土日はしっかり休んだ。
そして一番大事なこと。
私を心配してくれる上司や同僚がいた。
同期の友達も同じようにハードワークだったから、
お互い元気づけあってた。
孤独を感じることはなかった。
本当につらくてしんどいけど、
自分だけじゃない。
でも電通の彼女は、孤立していた。
同僚に比べて仕事の量が突出して多かったらしい。
その上、上司のパワハラ。
私が入社したての頃、先輩の男性社員が、
新卒でお嬢さん気分の抜けない私を鍛えようと、
ビシビシと厳しくあたった。
その男性社員も当時は28歳。
まだまだ若造だわ。
私は彼の前でいつもビービー泣いてた。
いわれのない説教を受けていたからだ。
新入社員でハードワークなのだから、ミスはする。
そこを責めてくるのだ。
ただね・・・私のことを嫌っているわけじゃないのは、
わかっていたから我慢できた。
たまーーに、夕食をね、ほんとたまーにご馳走してくれたからだ。
私と彼女と共通している点が少しあるので、
彼女がそんな立場に追い込まれた背景はなんとなくわかる。
私も彼女も母子家庭で、
父親がどんなものか知らない。
父がいる家庭で育った子は、
年上の男性への接し方を心得ているから、
上司の扱いかたは無意識に身に付いている。
男性の自尊心のくすぐり方や転がし方がわかるのだ。
でも、私や彼女は知らない。
男性に頼ることができないのだ。
一人でやろうとしてしまう。
それは男性にとって可愛くないのだ。
もっと頼ればよかったんだよね。
あと責任感が強い。
仕事はね、できる人か責任感の強い人に回ってくる。
チャラチャラした人に仕事は回ってこない。
理不尽だけど世の中、そうなっている。
おそらく彼女は抜きん出て責任感が強かったのだと思う。
真面目で誰かに頼ることを知らない。
長所と言うものは、環境や立場によっては短所になるんだよね。
不屈の精神は素晴らしいものだけど、
場合によっては他人に利用されたりもする。
心無い上司なんかは通過儀礼的に新入社員に無茶な仕事を振る。
「こいつは伸びる」とか「気骨ある」とか見込んでいるのではなく、
上司という立場に酔いしれているだけだと思う。
そんな奴の餌食になってはならない。
本当にずる賢くなるが勝ち。
社会はきれいごとの世界じゃない。
私は自分を汚したくなくて、苦労した。
貧乏育ちだけど、この辺は考えがお嬢さんなんだろうね。
私も彼女も一緒だった。
誰かを貶めたり傷つけるのが嫌だった。
平和的に収めるには自己犠牲しか道はない。
でもね、やっぱり小ずるく生きてほしい。
仕事が多かったら身内を病気に仕立ててたらいい。
あるいは右手首に包帯を巻いて出社してもいい。
それは嘘じゃなく「方便」だ。
嘘をつかせる会社が悪いのであって、自分が悪いと思ってはいけない。
少しでも手を差し伸べてくれる人がいたら、
おおいにすがろう。
とりあえず笑っておけ。
笑ってさえおけば、評価してくれる人は必ずいる。
そして、最後は家族に頼ろう。
私の同僚の親が会社に怒鳴り込んできたことがある。
今でいうモンスターかも知れないが、
これでひとりの命が救えたのなら、やる価値はあった。
何でも一人で抱え込まないで、誰かに相談する。
これが大事。
周囲もね、相談されるとうれしいもんなんだよ。