以前、柚木麻子の「BUTTER」を読んで、
無性にバター乗せごはんが食べたくなった。
それもただのバターではない!
高級なエシレバターを使ったバター乗せごはんだ。
「BUTTER」は、あの連続不審死殺人犯とされる木島香苗死刑囚を
モデルに書いたと思われる小説だ。
当の木島香苗はこの本を読んで怒り狂ったそうだ。
そして、この本でビブリオバトルに参戦した大阪の女子中学生は
みごとグランプリを果たしたのだ。
ま、そういう作品。
で、そこに登場するのがエシレバター。
本には女性死刑囚に面会に来た女性ライターが、
死刑囚から「食に対する考え方が変わるから」とエシレバターのごはんを奨められ、
それを食べた女性ライターが、あまりの美味しさに仰天してしまうと言うものだ。
食べるべし!!
私は決意した。
エシレバターは家から40分はかかる梅田の百貨店で売っている。
買うべし!!
と、私は1月まで待って買いに行った。(夏場は溶けるからね)
値段が高いのは承知の上。
1000円でもいいじゃないか!
と清水の舞台から飛び降りた気になって店員に札をたたきつけた。
可愛らしい小さな紙袋にバターを入れてもらい、
私はわき目もふらず一直線に家に帰る。
さて・・・
欲しいものは手に入れた。
しかし、難しいのはこれからだ。
カッパさんは超健康オタクだ。
私がバターごはんなぞ食べていたら、
さぞブーブー言うことだろう。
「ようそんな体に悪いもん食べるなぁ」
「絶対、糖尿病なるわ」
とかヘチマとか言うに決まっている。
私は、そういう罵詈雑言を浴びながらごはんを食べたくない。
一人で!
こっそりと味わいたいのだ。
でもね、カッパさんの目を逃れて食事するのは不可能に近い。
なんたってカッパは家から一歩も出ないからだ。
カッパが外で一人で食事に行くこともない。
GWの旅行だって私が不在の時に決行しやがった。
結婚して14年経つが、カッパだけが不在なんて、
せいぜい4,5回あるかどうかだ。
これってすごくない?
お願いだから、丸一日外出してほしい。
と、嘆いてもしゃーない。
とにかくエシレバターを食べるべし。
とりあえず朝食にバゲットをこんがり焼いてバターを塗って食べた。
(これについてはカッパさんは何も言わない。私は朝はパン派なので)
めっちゃおいしーいー!
これはいける。
でも、でも、バターごはんも食べたい。
バゲットでこんなにおいしいんだから、ごはんも推して知るべしだ。
そんなこんなで半年が過ぎようとしている。
私が一人で家で食事をする機会は全くやってこない。
もうエシレもあと2切れほどしか残ってないのだ。
かくなる上は、カッパさんと食事をしながら、
こっそり私だけがバターごはんを用意して、
敵に気付かれずに食べることだ。
もう、それしかない。
目ざといカッパさんを欺くことができるのか?
バレたときは、どう誤魔化す?
バターごはん一杯食べるのになぜここまで苦労する?
自分の置かれた境遇が不憫で、つい涙ぐんでしまった。
そんな折、朗報が舞い込んだ。
7月の連休にカッパさんがソロキャンプに行くと言う。
やったーー!
今回は不発に終わらないことを祈る。
さあ、それまでカッパさんのモチベーションを高めるべく
私も協力を惜しまないよーーー。
がんばれー!