竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

釣りの効用

2010年03月10日 22時31分57秒 | 兵法書・鍛練編
昔々、今のようにフランスや諸外国で柔道が盛んでなかった時代、もちろん柔道といえば日本が強かったわけですが、徴兵制のない国であれだけ格闘技が強かったというのは考えてみればすごいことだと思います。
そしてその日本人の柔道が強かった理由として「引く力が強いからだ」ということがTVでもよく言われていたように記憶しています。

「引く力が強い」それはそれで結構なことなのですが、筋肉の構造からすると「引っ張る」という動きは一番単純な動きなんだと言われています。ですから「柔道は引く力が強ければ勝てる」といってもっと強化しようというのはむしろ運動神経を鈍らせていた可能性もあるんではないかという気がします。

釣りという酔狂な道楽では、魚とのやり取りは力任せというわけには行きません。魚の口が切れないように加減しながら、魚の動きに呼吸を合わせて「寄せる」わけです。そこには魚の動きを「感じる」という必要性が出てきます。
そして針が小さくなればなるほど、糸が細くなればなるほど寄せるのは難しくなります。そうしたギリギリの攻防がたまらず面白い。単に釣れたから面白いというのではなく、緊張感を伴った面白さ、これは例えれば、ボケとツッコミ対ブラックユーモアとでも言いましょうか。



さて、釣りというものが漁ではなく遊びとして、娯楽として確立されたのが江戸時代だと言われていますけど、竹の釣り竿を「投げる」という目的に使うということはほとんどなかったのではないかと思います。折れたらもったいないですから。当時投げる楽しみはなかったけれど、やり取りする楽しみで満足していた…。

仕掛けを遠くに投げるということが今のようにポピュラーになったのはガラスやカーボンの繊維で釣り竿を作るようになってからです。この投げるということによってより釣りの楽しみが広がりました。そして釣りの大衆化、ようは一部の好き者の道楽だったものが子供でも楽しめる身近なものになったというわけでございます。


ルアーフィッシングで一番簡単なものというと、野池でミノーを引いてナマズやバスを狙うのがいちばん手軽でしょう。これならウェーダーも要りませんし、学校から帰ってきてから、あるいは仕事帰りでもできます。


ところで、ベイトリールでルアーをキャストするのであればうまい下手というのはもちろんあるわけですけど、意外とスピニングでも「ぜんぜん飛びません」とか「どうやったらもっと飛ぶようになりますか」という話題をネットでもよく目にします。いつも、え?なんで?と思ってしまいます。

ついつい「スピニングで投げるのにコツなんてない!」というふうに思ってしまうのですが、よく考えると、相手が「どうやったらもっと飛びますか」と聞いているのに、こっちで勝手に「投げ方」をテーマにしちゃってるわけです。釣り人というのは誰でも自分が上手いと思っていますから…。

確かに同じタックルでやってみても、遠くに飛ばせる人とそうでない人が出てくるというのは本当でしょう。そうするとテクニックだ、技術だということになるわけで、上手な人から教わったり、投げ方を真似してみたりします。それでも飛ばないと「鍛えろ!」「筋トレだあ!」というふうになると思います。
ですがスイングスピードが速ければ速いほど飛ぶというものじゃないということはやってみればすぐに分かることですし、ルアー竿というのは投げ釣りやカゴ釣りの竿に比べれば全然短いです。ですから筋力というのはまあ、言葉のアヤですなあ。先輩から気合いをもらった、ごっつぁんです、でいいじゃないですか?


というのは冗談で、それではもう他に「投げる」ための要素はないのかというと、まだあります。関節です。

野球選手の肩を見てみてください。何度も何度も繰り返し繰り返し投げていますと、もちろんそれに伴って関節の周囲の筋肉も付いてくるわけですが、一番大きいのは、肩の関節の可動域が広くなるということだと思います。ルアーフィッシングでも長年やっていますと、左肩に比べて、右肩の可動範囲が顕著に広くなっていることが、歴然と分かります。繰り返し応力を受けて関節が変形してくる?わけです。ですから遠くに飛ばせる人というのはこんなふうに肩の可動範囲が広くなっている人なのではないかなあと思います。

大人に比べて子供というのは普通は体が柔らかいですが、肩に関して言えば意外と可動範囲が広くありません。股関節にしてもそうです。肩や股関節というのは脱臼しやすい関節ですから、わざと簡単には伸びないようになっているのではないかと思います。ですから成長期を過ぎて、ある程度身体が完成してから肩や股関節を開発するということもある意味必要なのではないかなと思います。逆に言えば、意識的に開発してあげないと肩と股関節は子供のままなのかもしれません。



さて、さきほどミノーイングが一番手軽な釣りだということを書きましたが、これには欠点もあります。ミノーを引くときはどうしても猫背になってしまうのです。ミノーを引くにはロッドティップを下げなければなりませんから、気をつけていないとうつむき姿勢になります。ずっとやっていると本当に背中が張ってきます。そういうときは別なタイプのルアーを使います。

ですから釣りそのものをエンジョイしたい、という人は、ロッドティップを上げて行うスタイルがいいと思います。せっかくの休日、釣りに出掛けて、背中を痛くして帰ってくるんじゃもったいないですよね。ロッドを立てて動かすのはトップウォーター系やジギングの釣りなんかが当てはまるでしょう。トップやジグでは食わない時期には、ラパラCDだとかビーフリーズでしゃくるという奥の手も?これがいい筋トレになるんですわ~(笑)。

ですが慣れてくるとむしろかすかなアタリを取って釣るのが楽しくなってきますので、ルアーよりもサビキ仕掛けに錘やメタルジグを着けて投げたくなってきます。ついでにイソメもつけてね。

サビキ仕掛けをしゃくっていますと手首に筋肉が付いてきます。そうすると不思議とかすかなアタリが分かるようになってきます。ですから「あの人は釣りが上手だ」というのは、意外とこういうことなのかなあと思います。

学校では「目は受容器、筋肉は効果器」みたいに教わると思うんですけど、実際には筋肉の周りに少ないながらも求心性線維が付いている。それで「筋肉痛」というものがある。するとまさしくこの筋肉痛という現象が筋肉は受容器でもあるということを物語っていることになりますね。してみると、皮膚ではなく筋肉で魚が餌を加えた感触を感じるということも、修練を積めば可能性がゼロではない、と。特に骨は重みと振動を伝える役割をしますから、結果的に受容器が少なくても充分にセンサーになるのかも?

まあ、この真偽のほどは、修練を積んだ達人に聞かなくてはならないのですが…。

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