糸ぐせ
危険度 対処方法 仕掛けを交換する
仕掛けに糸ぐせが付いてしまうと、ガン玉7〜8号ではポイントに入らず、釣りにならなくなる。このため楕円形や角丸の仕掛巻が欠かせない。もし糸ぐせが付いてしまったら、早めに交換した方が良い。空中糸にはなるべくクセの付きにくい良質な糸を選ぶのがコツである。渋糸ならさらに良い。
糸ぐせがつかず、転がりにくい形状の仕掛巻
ウインドノット
危険度 対処方法 ハリスを交換する
ハリスが絡んで結びコブができてしまうこと。片結びの結節強力は60%程しかなく、解いてもキズが付いているため簡単に切れてしまう(通し仕掛けにせず、ハリス交換式の仕掛けにした方がこまめに交換できていいですね)。
オモリへの絡み
危険度 対処方法 ハリスを交換する、目印を下げる
ハリスがオモリの上下で巻き付いてしまうこと。仕掛けを緩めたままドボンと沈めた時や、底波の中に送り過ぎた時に起きやすい。一度でも絡ませてしまうとハリスがパーマするため、水流を受けて絡みやすくなる。早めの交換が有利。
- ドリフト中に水流や速度差でハリスにヨリが掛かる場合
- ドリフト中にオモリが底を引きずった場合
- ドリフト中に水流を受けて餌が回転する場合
- ピックアップの際に穂先がバタついて絡む場合
- もともとハリスが繊維疲労やパーマしていた場合
[1.] と [2.] では目印を下げて浅く流す、またはオモリを軽く調整。[3.] では餌と針を小さくする、もしくはハリスを太くする。針が回転すると魚が警戒するため、気付かずに流しているとそのポイントではしばらくの間釣れなくなる。[4.] の穂先が原因の場合、穂先・穂持を両方とも改造する必要がある。[5.] はハリス交換。
オモリのズレ
危険度 — 対処方法 ティッシュペーパーを使う
ゴム付のガン玉を使用しても、細糸では合わせた時などにずれやすい。通常のガン玉を使用し、ハリスにティッシュペーパーを巻いてから付けるようにすると、軽い力で留まり、ズレに対しても強い。編み込み式のオモリガードよりも手軽で便利。ティッシュペーパーは[スコッティー カシミア]が一番で、2枚合わせになっているので剥がして1枚にし、医療用や美容用の繊細なハサミで2〜3mm四方にカットして釣り場に持って行く。
オモリが割れる
危険度 — 対処方法 良質なガン玉を購入する
ガン玉の位置を調整しようとして、いったん外し、改めて付けようとしたら割れてしまった…近頃増えたこの現象。これは、近年オモリの品質が低下しているため。純鉛度の高いガン玉は、ズレたり外れたりしにくいだけでなく、付け外しを10回程度繰り返しても割れないだけの強度を保っている。シーズンオフには良質なガン玉を必要数確保しテストしておくこと。
カフス絡み
危険度 対処方法 ウェットスーツを着る
ゴアテックスのレインジャケットのような袖口がカフスになってる雨具は、仕掛けが絡んで糸を切られることがある(雨が降っていなくても濡れるのだから、初めからウェットスーツを着た方がいいですね)。
木の枝を釣る
危険度 対処方法 タモアミを使う、穂持の強い竿を使う
振り込みの際など、仕掛けが頭上の木の枝に掛かってしまうことがある。この時強く引っ張ると、却って外れなくなることが多い。タモアミを上手に使ってできるだけ静かに枝を引き寄せ、竿を縮めてヘビ口を外すと回収できる。並継の竿の場合、穂先が抜けないように注意する必要がある。
バックキャストなしで振り込みのできる竿(朱紋峰 凌など)を使うと木の枝を釣ることは少なくなる。「渓流釣り技法(3)[キャスト編]」を参照。
素針を引いた(合わせを入れたが乗らなかった)時も仕掛けを頭上の枝に引っかけてしまいやすい。穂持の強い竿を使うと合わせを軽く小さくできるため、このような場合も有効。
クモの巣を釣る
危険度 対処方法 手で取り除く
道糸にクモの巣がまとわりつくこと。仕掛けが飛ばなくなるし、竿にも絡みやすくなるため、気付いたらその都度取り除く。
固着
危険度 対処方法 自動車用のワックスを塗る
最近の小継竿は剛性が高くコミ精度も非常に高いため、深刻な固着が起きることはあまりない。それでも固着が起きるのはほとんどの場合水滴がコミ部に入り込んで真空状態となることが原因。本体側に自動車用のワックスを薄く塗って拭き上げ、撥水性を持たせるとかなり効果的。あまりツルツルのものだと手が滑って釣りにならなくなるが、非テフロン系硬質タイプは手に付きにくく、コミ部にも薄く塗ることができ、また竿先に付いたクモの巣なども取り除きやすくなる。スプレータイプのワコーズバリアスコートなども滑らず便利。万が一固着してしまった場合は、コンビニでゴム付手袋を買い、慎重に外す(引き受けてくれる釣具店もありますね)。金属用のリムーバーでは取れない。
和光ケミカル バリアスコート
仕掛巻ロスト
危険度 対処方法 シート状の仕掛巻をベストに入れておく
仕掛けは絡んだりキズが付いたりすると使い物にならなくなる。仕掛巻を立ち込んでいる時に落とすと、その時使っていた仕掛は移動の際に捨てざるを得なくなる。かつての友釣り全盛期は楕円形や角丸型の仕掛巻があって便利だったが、最近の真円形の仕掛巻は遠くまで転がりやすく、発泡スチロールの仕掛巻も軽すぎて風で飛びやすく、ロストの頻度がより高くなっている。シート状の仕掛巻は糸ぐせがつきやすいが予備として使える。また、仕掛けを竿に装着して伸ばす際、腰に差したタモ網を使うと不意のロストを防ぐことができる。
尻栓ロスト
危険度 対処方法 Oリングを付ける
最近の竿は全てOリングがついているので問題ないが、昔の竿でサイドキャストを続けていると尻栓が緩んで落としてしまうことがある。釣りをしながら時々点検するか、ぴったり合うOリングを調達して付ける必要がある。
浸水
危険度 対処方法 防水ケースを活用
針のパッケージに水が入ると錆びてしまう。ナイロン糸のケースに水が入るとクタクタになってしまう。オモリガードのティッシュも濡れれば使い物にならなくなる。川切りすれば水しぶきを浴びるわけで、面倒でもあらかじめ鮎釣り用防水ケースに入れておいた方が良い。防水ケースは百均のストラップを付けておくと良い。
ハリス用防水ケース
砂噛み
危険度 対処方法 竿を河原に置かない
竿は砂が大敵。コミ部に小さな砂が1粒でも着いているとキズが付き、折れやすくなる。もし万が一砂が内部に入ってしまった場合は尻栓を外して分解し、きれいな水で洗うこと。神経質過ぎるとも思えるほどの取り扱いが必要(砂の着きやすいフェルールワックスやロウソクは渓流竿には向きません)。
深刻な砂噛み(最近の竿なら折れてるレベル)
ソール剥れ
危険度 対処方法 納竿する
最近の鮎タビは熱溶着されているため、3〜4年ぐらいで剥れることはないが、万が一剥れてきたら、たとえノボリの群れに当たっても川から上がることをおすすめする。今時サンダル履きで釣れるような川に魚はいない。ちょっとでも剥れてきた鮎タビは修理せず新品に交換した方が良い。予備を車に積んでおく必要はないが、取り寄せに時間がかかるため、店頭在庫が少なくなってきたら購入して手元に置いておくのがおすすめ。
転倒
危険度 対処方法 遡行の楽な川で慣れておく
川の中で転倒すると流されたり怪我をしたりするリスクが高い。シーズンオフは時々オイカワ釣りなどして足を慣らしておくと良い(ドライアンダーと先丸タビは持ってた方がいいですね)。
根掛かり
危険度 対処方法 軽いオモリと小さい針を使う
川底に沈んだ木の枝に引っ掛かっていることが多い。渓流釣りに根掛かりは付き物ではあるが、オモリと針を小さくするだけで劇的に減らすことができ、積極的な攻めが可能となる(大場所は攻められないが)。もし根掛かりしたら静かに仕掛けを外し、予備の仕掛けで釣った後、静かに立ち込んで外しに行くと良い。煽ったり、引っ張って切ると食わなくなることが多い。厄介なのはルアー用のラインが沈んでいる時で、引っ張ると糸鳴りするため魚を驚かせてしまう。長手尻の仕掛なら竿を縮めて穂先から外すのも簡単にできるので根掛かりの多い場所でも有利である。
軽いオモリと小針
破損
危険度 対処方法 頑丈な竿を使う
せっかく深い谷底まで降りたのに、肝心の竿が折れてしまうと、再び急な杣道を上っていかなければならなくなる(まさに「心が折れる」心境でしょうかねえ…)。釣り人の心理として、竿をかばうあまり自分の身体のことを忘れ、結果怪我を負ってしまうということがある。本格的な渓流釣りでは、多少重くて感度が悪くても頑丈な竿の方が専念できて良い。一口に頑丈な竿といっても、チョウチン釣りに向いた竿と長手尻に向いた竿とでは構造も調子も素材も違う(このあたりは量販店の店員ではなく、年季の入った釣道具屋の親父に聞いた方が話が早い)。破損が起きるのは、木の枝に当てた時、振り込んだ時、節を縮めた時、砂噛みした時、穂先に仕掛けが絡んでいた時、などがある。なお小継竿でも三倍体ニジマスが掛かったぐらいでは折れないだけの強度があるが、足場の高い場所から竿を出していて糸を巻かれた時などはレギュラーサイズの渓魚相手でも折れる場合がある。
針こぼし
危険度 対処方法 マグネット付のケースに小出しにする
洋上で原油を流出させてしまうと大変な事態になるように、渓流マンも畳の上、カーペットの上、車の中などで100本入りの針をぶちまけてしまったら、怪我を防ぐために何が何でも全ての針を回収しなくてはならない(タンカー船長に同情したくなるよ)。たかが釣針ではあるが、取り扱いには細心の注意が必要である(一杯やりながらの仕掛け作りには気をつけましょう)。
自分を釣る
危険度 対処方法 スレ針を使う
カエシのある釣り針が帽子や着衣に刺さると生地を傷めてしまう。万が一自分の皮膚に刺さったらもっと大変である(日常的にスレ針を使うことをおすすめします)。
ヘビ口が外れる
危険度 対処方法 リリアンを細くする
ぶしょうづけのヘビ口はテンションが抜けると緩む。立ち込んでいる時に緩むと仕掛けを流してしまうことになる。この時リリアンのコブを大きくしても効果がないことが多い。ところが実は、リリアンを細くするだけで完璧とは言えないまでもかなりの改善が見られる。ケプラーノットII(4.5〜6号)の中芯を抜き、ししゅう針などで拡げて装着すると良い感じになる。感度の方も若干向上するようだ。リリアンをやめてブラックラーヂ0.8〜1号の4本撚りにするという手もある。
ローリングトップのリリアンをケプラーノットに換装した例
節落ち
危険度 対処方法 軽くねじりながら伸ばす
竿を90度近く立てた時にコミが緩んで中間の節がストンと落ちること。魚が掛かった時にこれが起きるとバレたり糸切れするし、最悪の場合竿が折れてしまう。これを防ぐには竿を伸ばす際、ただまっすぐ引っ張るのではなく、周方向左右にも軽く力を加えて自然に止まるところで止める。一節継ぐ毎に丁寧にこれを行う。
穂先への絡み
危険度 対処方法 穂先と天井糸を変えてみる
穂先のリリアンに天井糸が絡みつく。天井糸に結び目ができてしまう。原因はいろいろ。
- 振り込みの際に穂先に仕掛けが絡みつく場合
- ピックアップの際に穂先に仕掛けが絡みつく場合
- チョウチン釣りで穂先に仕掛けが絡みつく場合
- 餌付けの際に穂先に仕掛けが絡みつく場合
リリアンに天井糸が絡んだ場合、絡んだ部分が振り込みの際に仕掛けに擦れるためピン撃ちがやりにくくなる(手尻の長さも変わるため、ドリフトも決まらなくなる)。クシャクシャになった天井糸は早めの交換が必要。原因をよく見極めて、穂先や天井糸をいろいろ替えてみてマッチングを図ると良い。
なお餌付けで竿尻を脇に挟んだ際など天井糸が#2〜3節に巻き付くことが多い。これを嫌って回転トップを外しリリアン直付けにする人がいるが、面倒でも餌付け毎に仕掛けを引いて穂先絡みを取り除く方が、仕掛けの点検にもなり、トータルでのトラブルを減らせるようだ(この時ていねいに扱わないと破損する恐れあり)。朱紋峰凌のような穂先なら、軽くしごいてやるだけで簡単に穂先絡みを取り除くことができる。回転トップの場合、天井糸はヨリ糸にせずモノフィラの方が良い。
まとわりつき
危険度 対処方法 空中糸にナイロンを使う
カラッとした風のある日に、仕掛けがピンポイントに入らない、仕掛けが竿にまとわりつく頻度が高いと感じたら、それは静電気が原因。特に0.3号以下のフロロを使っていると静電気が起きやすい。こういう場合は空中糸をナイロンに替えるだけでかなりの改善が見られる。渋糸ならさらに良い。
目印への絡み
危険度 対処方法 目印にフロータントを塗る
仕掛けが目印付近で絡むことがある。これが一日に何度も起きるようなら、目印が重過ぎる可能性がある。目印にはあらかじめフライ用のフロータントを塗っておくと良い。目印が軽くなり過ぎて食い込みが悪いと感じた場合は水中に入れて軽くもむだけで簡単に調節できる(目印を重くしたのにガン玉が8号のままだと仕掛けのなじみ具合が目印に表れないです。この関係は頭に入れておくといいですね)。
Dave’s Bug Flote