「ぐりまの死」 草野心平
ぐりまは子供に釣られてたたきつけられて死んだ。
取りのこされたるりだは。
菫(すみれ)の花をとって。
ぐりまの口にさした。
半日もそばにいたので苦しくなって水にはいった。
かんらくの声声が腹にしびれる。
泪が噴きあげのように喉にこたえる。
菫(すみれ)をくわえたまんま。
菫もぐりまも。
カンカン夏の陽にひからびていった。
ぐりまは子供に釣られてたたきつけられて死んだ。
取りのこされたるりだは。
菫(すみれ)の花をとって。
ぐりまの口にさした。
半日もそばにいたので苦しくなって水にはいった。
かんらくの声声が腹にしびれる。
泪が噴きあげのように喉にこたえる。
菫(すみれ)をくわえたまんま。
菫もぐりまも。
カンカン夏の陽にひからびていった。